【新型コロナ】ノババックスのワクチンの3回目接種の結果 副反応の頻度は他のワクチンより低い
ノババックスのワクチンは組換えタンパクワクチン
ノババックスの新型コロナワクチン「ヌバキソビッド筋注」は、同社が開発したワクチンを武田薬品工業より薬事承認申請されたもので、2022年4月に承認された。接種は5月からはじまっている。
同剤は組換えタンパクワクチンであり、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質(ウイルスがヒトの細胞へ侵入するために必要なタンパク質)の遺伝子をもとに作られた組換えタンパク質を、ナノ粒子化した製剤で、免疫の活性化を促進するためのアジュバントが添加されている。
同剤の接種により、組換えスパイクタンパク質がヒトの細胞内に取り込まれると、スパイクタンパク質に対する中和抗体産生と細胞性免疫応答が誘導され、ウイルスによる感染症の予防ができると考えられている。
組換えタンパクワクチンは、不活化ワクチンの一種で、B型肝炎ウイルスワクチンなど、世界中で幅広く使用され、長期の使用実績のある技術。
ファイザーやモデルナのmRNAワクチンと、アストラゼネカのウイルスベクターワクチンは、遺伝情報を伝達する物質や遺伝子を投与して体内で新型コロナウイルスのスパイクタンパク質ができるようにして、抗体を作るようにできているが、ノババックスのワクチンは、人工的に作ったスパイクタンパク質そのものを投与することで、免疫の反応を引き起こす。
ノババックスの副反応 発熱は10.3% 倦怠感は39.7% 頭痛は27.6%
ノババックスの新型コロナワクチンの接種ができるのは、1回目と2回目接種では、12歳以上の人、3回目接種では18歳以上の人となっている。
厚生労働省の研究班(代表者:伊藤澄信・順天堂大学革新的医療技術開発研究センター特任教授)は、「ワクチン接種者を対象とする前向き観察研究」として、ノババックスのワクチンを3回目に接種した人58人の、変異する前の従来株に対する抗体の値や、副反応を分析した結果を公表した。
ノババックスのワクチンの副反応について、1回目を接種した18人では、37.5℃以上の発熱が5.6%(38℃以上は0%)にみられ、局所反応は疼痛が55.6%にみられた。
ノババックスのワクチンの3回目を接種した58人では、37.5℃以上の発熱が10.3%(38℃以上は0%)にみられ、局所反応は疼痛が65.5%に、全身の倦怠感が39.7%に、頭痛が27.6%にそれぞれみられた。
一方、ノババックス以外のワクチンの副反応の頻度については、37.5℃以上の発熱は、ファイザーが39.7% モデルナが62.9%、全身の倦怠感は、ファイザーが69%、モデルナが75.6%、頭痛は、ファイザーが55.1%、モデルナが64.5%にそれぞれみられた。
接種1回目~2回目がファイザーのワクチンで、3回目がノババックスだった人のうち、3回目接種後の体調について、「楽だった」と答えた人が80.9%、「つらかった」が6.4%、「変わらない」が12.8%だった。
ノババックスのワクチンの接種後、接種翌日に病休を取得していた人は、1回目接種では5.56%、3回目接種では5.17%だった。
ファイザー 「コミナティ筋注」 |
モデルナ 「スパイクバックス筋注」 |
ノババックス 「ヌバキソビッド筋注」 |
インフルエンザワクチン | |
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39.7% | 62.9% | 10.3% | 3.1% | |
接種部位反応 | 92.1% | 94.1% | 65.5% | 70.0% |
倦怠感 | 69.0% | 75.6% | 39.7% | 19.0% |
頭痛 | 55.1% | 64.5% | 27.6% | 14.1% |
ノババックスのワクチンは副反応の頻度が低いという結果に
「ノババックスのワクチンの3回目接種を受けた人はまだ多くはないが、調査した結果、このワクチンは他のワクチンより副反応の頻度が低いといえる結果になった」と、研究班では述べている。
「重症化予防などが期待される免疫の増強効果が確認された。追加接種(3回目接種)をし、接種1ヵ月後の抗体価が測定できた7人の抗スパイクタンパク質抗体価は、接種前121U/mLが接種1ヵ月後に3,867U/mLと約32倍に増加していた」と、研究班代表の伊藤澄信・順天堂大学医学部特任教授は述べている。
「季節性インフルエンザのワクチンと比べても、副反応の頻度は統計学的にほぼ同じ程度かあるいは少し高い程度。今後さらに母体数を集めて詳しく分析していきたい」としている。
新型コロナワクチンの追加接種(3回目接種)後の健康状況調査 (厚生労働省)