米FDAが「血糖測定可能」とうたうスマートウォッチの使用に注意喚起

2024.03.07
 米国では現在、多くの企業が、皮膚への穿刺などをせずに、血糖値を測定したり血糖変動を把握したりすることができると主張するスマートウォッチやスマートリングデバイスを、米食品医薬品局(FDA)の承認を受けずに販売している。FDAは2月21日、それらのスマートウォッチやスマートリングに関する安全性情報(safety communications)を発出した。

 FDAは、「これらのスマートウォッチやスマートリングの販売者は、非侵襲的な技術を使用することによって、自社の製品を用いれば指などの皮膚に針を穿刺・留置することなく血糖値を測定可能だと主張している。しかし、当局はそのようなデバイスを承認したことはなく、それらの宣伝文句を信頼することは危険な可能性がある」としている。

 また、「糖尿病患者にとって、不正確な血糖測定は、糖尿病管理の失敗(errors in diabetes management)につながることがある」と警告。

 「糖尿病管理の失敗」の具体例には、血糖値を危険な低水準まで急降下させることのある量の薬剤を使用してしまうといったことも含まれ、「血糖降下薬を過剰に使用した場合、危険な低血糖状態に陥り、数時間以内に精神的混乱、昏睡、または死に至ることもある」と述べられている。

 FDAによると、現在このような未承認の機器を手軽にオンラインで入手可能な状態にあり、「これらのスマートウォッチやスマートリングは数十の企業によって製造され、複数のブランド名で販売されている」という。そして米国内の医療従事者に対して、このような危険性のある製品が流通していることについて、患者に情報を伝達することを求めている。

 FDAのこの安全性情報は、「当該製品のメーカーやブランドにかかわらず、皮膚に針を穿刺・留置せずに血糖値を測定可能と主張する、全てのスマートウォッチやスマートリングに適用される」という。また、このような機器の不適切な販売行為を防止するための取り組みを、米国全土で進めているとのことだ。

 なお、今回のFDA安全性情報の対象であるスマートウォッチやスマートリングは、既に日本国内で承認され保険診療下で糖尿病治療に使われ、安全性や有用性のエビデンスが確立している連続血糖測定(CGM)や間歇スキャン式持続血糖測定(isCGM)に用いられている機器とは異なる。

 CGMやisCGMは、皮下間質液中の糖濃度を測定し血糖値に換算するものであり、侵襲が比較的小さいものの非侵襲ではない。

[HealthDay News 2024年2月22日]

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