糖尿病性神経障害の疼痛治療 併用薬による鎮痛効果を3つの組合せで比較
糖尿病性神経障害の疼痛治療 併用薬による鎮痛効果は3つの組合せで比較検討
糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)は、生涯にわたり糖尿病患者の約50%に影響を及ぼすとされており、DPNPに対して多くのガイドラインで、初期治療としてアミトリプチリン、デュロキセチン、プレガバリン、ガバペンチンが推奨されているが、どれが最適な薬剤か、あるいは併用すべきかについての比較検討はほとんど行われていない。
そこで、ロイヤル ハラムシャー病院糖尿病研究ユニットのSolomon Tesfaye教授らは、英国の13施設で多施設二重盲検ランダム化クロスオーバー試験「OPTION-DM研究」を実施。1日疼痛数値評価平均尺度(NRS)が4以上(尺度は0~10)のDPNP患者を対象に試験を行った。研究成果は、「Lancet」に掲載された。
アミトリプチリン+プレガバリン(A-P)、デュロキセチン+プレガバリン(D-P)、プレガバリン+アミトリプチリン(P-A)の3つの治療法を各16週間、6通りの投与群に、1対1対1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた。
単剤療法を6週間行い、臨床診療を反映し、最適以下の鎮痛(NRS>3)がある場合は、10週間の併用療法が追加された。両方の治療は、最大耐用量(アミトリプチリンは1日75mg、デュロキセチンは1日120mg、プレガバリンは1日600mg)に向けて用量を漸増した。主要な結果は、各治療法の最終週での7日間平均の1日あたりの痛みの差(NRS低下)とした。
2017年11月14日~2019年7月29日に252例がスクリーニングされ、140例が6通りの治療順に無作為に割り付けられた。130例が単剤治療を開始し、84例が併用療法を完了した。
主要転帰について分析したところ、16週時の7日間平均NRSスコア(平均±SD)は、ベースライン(130例全体で6.6±1.5)から、いずれも治療法も3.3±1.8に減少した。
各治療法の平均差は、D-P 対 A-Pで-0.1(98.3%信頼区間CI:-0.5~0.3)、P-A 対 A-Pで-0.1(-0.5~0.3)、P-A 対 D-Pで0.0(-0.4~0.4)となり、有意差は認められなかった。
併用療法を受けている患者のNRS低下の平均は、単剤療法を続けている患者よりも大きかった(1.0[SD 1.3] 対 0·2[1·5])。
有害事象は、3つの治療法を比較すると(A-P 対 D-P 対 P-A)、P-Aではめまい(12% 対 16% 対 24%、p=0.036)、D-Pでは悪心(5% 対 23% 対 7%、p=0.0011)、A-Pでは口渇(32% 対 8% 対 17%、p=0.0003)の発現率が有意に高かった。