【新型コロナ】若年2型糖尿病の新規発症がパンデミックで急増

N. Magge氏らは、COVID-19パンデミックによる環境の変化に伴う、若年2型糖尿病新規発症患者数への影響を把握するため、米国内24医療機関のカルテ情報を後方視的に解析した。2018年3月~2021年2月に、21歳以下で2型糖尿病と診断された患者が3,459人記録されており、このうち膵島関連自己抗体陽性または不明、BMIが85パーセンタイル未満、単一遺伝子異常による糖尿病の症例などを除外した3,113人を解析対象とした。
パンデミック前の2018年3月~2019年2月(18/19期)の新規患者数は765人、2019年3月~2020年2月(19/20期)は886人で、この2年間の平均新規患者数は825人/年だった。それに対してパンデミック以降の2020年3月~2021年2月(パンデミック期)の新規患者数は1,463人/年であり、77.3%増加していた(P=0.005)。なお、パンデミック期の新規患者の2.5%は、診断時にCOVID-19に罹患していた。
糖尿病診断時のBMIや血糖レベル、急性合併症を呈していた割合にも有意差が認められた。詳細は以下の通り。
まず、BMIは18/19期が中央値34.6、19/20期が34.3で、パンデミック期は35.1だった(P=0.001)。糖代謝関連では、血糖値が同順に241mg/dL、246mg/dL、286mg/dLで、HbA1cは9.3%、9.7%、10.4%だった(いずれもP<0.001)。急性合併症の糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)は9.2%、8.9%、20.8%に認められ、高血糖高浸透圧症候群(HHS)は0.9%、0.7%、3.8%に見られた(いずれもP<0.001)。また、DKAとHHSのいずれか、または両者を併発していた患者を代謝性障害と定義すると、その割合は9.4%、9.0%、21.0%だった(P<0.001)。これらを反映して、パンデミック期では糖尿病診断後に入院を要した割合が高かった〔18/19~19/20期は入院43.1%、外来56.7%に対し、パンデミック期は入院57.1%、外来42.8%(P<0.001)〕。
また、パンデミック期は男性の新規糖尿病患者の割合が増加していた〔18/19~19/20期は女性55.1%、男性44.9%に対し、パンデミック期は女性45.3%、男性54.7%(P<0.001)〕。なお、診断時の年齢は、18/19期が中央値14.3歳、19/20期が14.5歳、パンデミック期は14.4歳で有意差がなかった(P=0.226)。
著者らは、「新たに糖尿病と診断された3,100人以上の患者を対象としたこの研究の結果は、COVID-19パンデミックが若年2型糖尿病の臨床に劇的な影響を与えていることを示している。若年者の2型糖尿病の罹患率はパンデミック前の段階で既に上昇傾向にあった。パンデミックによる罹患率の顕著な上昇は、限られたリソースで対応している小児内分泌専門医や実地医家に大きな負担をかけていると考えられる」と述べている。
なお、一部の著者が製薬企業との金銭的関係の存在を明らかにしている。
[HealthDay News 2022年8月31日]
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