メトホルミン処方、新生血管型加齢黄斑変性発症リスク低下と関連の可能性

2026.03.31
メトホルミンが処方されている患者は新生血管型加齢黄斑変性(neovascular age-related macular degeneration;nAMD)の新規発症が有意に少ないことが報告された。糖尿病患者のサブグループ解析でもこの関連が認められるという。ただし既に糖尿病網膜症が診断されている患者ではこの関連は認められなかった。米シカゴ大学のJason F. Xiao氏らの研究によるもので、詳細は「Ophthalmology Retina」に1月30日掲載された。

 メトホルミンは血糖低下以外にも多面的な作用を持つことが知られており、nAMDリスクを抑制する可能性を示唆する研究報告がある。ただしその関連を否定する報告もありエビデンスは確立していない。Xiao氏らはこの点について、医療費請求データベースを用いた検討を行った。

 2008~2017年の医療費請求データから、国際疾病分類(ICD)コードでnAMDと新たに診断されていた2万2,205人と、加齢黄斑変性(AMD)でない対照群2万2,126人を特定。両群を比較するとnAMD群は、喫煙歴あり(5.1対3.5%)、糖尿病(30.0対24.9%)、非増殖糖尿病網膜症(8.0対1.5%)、増殖糖尿病網膜症(2.8対0.4%)の割合が有意に高かった(いずれもP<0.001)。年齢、性別、地域、肥満、高血圧、脂質異常症、貧血、チャールソン併存疾患指数には有意差がなかった。

 傾向スコアマッチング後のロジスティック回帰分析の結果、メトホルミンの処方は、nAMD新規発症の調整オッズ比(aOR)の低下と有意に関連していた(aOR0.84〔95%信頼区間0.74~0.95〕)。探索的な検討として2年間でのメトホルミンの累積投与量との関連を調べたところ、一貫した傾向は認められなかったものの、中用量範囲(271~600g)で最大のaOR低下となることが明らかになった(aOR0.73〔同0.63~0.85〕)。ただし、医療費請求データからは服薬遵守状況を確認できないため、用量反応性に関するこの結果は、研究仮説を生成するものという解釈にとどまる。

 これらの関連性は糖尿病患者のサブグループ(nAMD群6,664人、対照群5,513人)でも認められた。具体的には、メトホルミンの処方ありではaOR0.83(0.72~0.94)、2年間の累積投与量271~600gでaOR0.72(0.61~0.85)、同1,080g超ではaOR0.85(0.72~0.999)だった。また、網膜症の有無別の解析では、網膜症のない患者で有意な関連が認められたが(aOR0.79〔0.69~0.92〕)、網膜症を有する患者ではこの関連が非有意だった。

 著者らは、「本研究は、試験デザインや残余交絡の存在の可能性などのために因果の推論には限界があり、他の手法により再現性を確認する必要がある」とした上で、「メトホルミンは副作用リスクが低く多くの患者に処方でき、nAMDの予防や管理において有望な選択肢となる可能性がある」と述べている。

 なお、2人の著者がバイオ医薬品企業との利益相反(COI)に関する情報を開示している。

[HealthDay News 2026年3月17日]

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