デュラグルチド、セマグルチド、チルゼパチドの消化管安全性プロファイルはほぼ同等

2025.11.25
GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)であるデュラグルチド、セマグルチド皮下注、およびGIP/GLP-1受容体作動薬(GIP/GLP-1RA)であるチルゼパチドの消化管に関する安全性のプロファイルは、3剤とも同程度であることを示唆するデータが発表された。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院およびハーバード大学医学大学院のSalvatore Crisafulli氏らの研究の結果であり、詳細は「Annals of Internal Medicine」に11月4日掲載された。

 2型糖尿病または肥満症の治療目的での、GLP-1RAやGIP/GLP-1RAの使用が増加してきている。これらの薬剤では消化器症状が高頻度に現れることがよく知られているが、実臨床における重大な消化器症状発現率が異なるのか否かという点は、まだ十分明らかにされていない。これを背景としてCrisafulli氏らは、日常臨床における2型糖尿病治療目的でのデュラグルチド、セマグルチド、チルゼパチドの投与に伴う重大な消化器有害事象のリスクを比較する検討を行った。

 2019年1月1日~2024年8月30日に、前記3剤のいずれかによる治療が開始されていた成人2型糖尿病患者から、3剤のうちいずれか2剤を比較する3件のコホートを作成。各コホートは傾向スコアで背景因子をマッチングさせ、サンプル数が1対1になるように割り付けた。主要評価項目は、急性膵炎、胆道疾患、腸閉塞、胃不全麻痺、および重度の便秘の複合アウトカムとした。なお、セマグルチドについては経口薬が処方されていた症例は除外し、3剤ともに注射薬が処方されていた患者のみで比較した。

 セマグルチド対デュラグルチドのコホートには6万5,238組のマッチドペアが組み込まれ、消化器関連イベントの発生ハザード比(HR)は0.96(95%信頼区間0.87~1.06)と非有意だった。同様に、チルゼパチド対デュラグルチドのコホート(2万893組)ではHR0.96(同0.77~1.20)、チルゼパチド対セマグルチドのコホート(4万6,620組)ではHR1.07(0.90~1.26)であり、いずれも非有意だった。なお、結果解釈上の限界点として、血糖管理状況やBMIなどの残余交絡の存在の可能性が挙げられる。

 著者らは、「米国内の大規模なリアルワールドデータに基づく観察研究の結果、デュラグルチド、セマグルチド皮下注、チルゼパチドのいずれかによる薬物療法を開始した2型糖尿病患者において、これら3剤は消化管に関する同等の安全性プロファイルを示した。本研究の結果は、これら薬剤のベネフィットとリスクを比較検討するためのエビデンスを臨床医に提供するものである」と述べている。

[HealthDay News 2025年11月7日]

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