SGLT2阻害薬「ジャディアンス錠」10mgが慢性心不全に対する効能・効果および用法・用量に係る承認(一部変更)を取得
添付文書における記載は次の通り――。
効能又は効果 | <ジャディアンス錠10mg> 慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。 |
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効能又は効果に関連する注意 | 左室駆出率の保たれた慢性心不全における本剤の有効性および安全性は確立していないため、左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与すること。 「臨床成績」の項の内容を熟知し、臨床試験に組み入れられた患者の背景(前治療、左室駆出率等)を十分に理解した上で、適応患者を選択すること。 |
用法及び用量 | <慢性心不全> 通常、成人にはジャディアンスとして10mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。 |
2型糖尿病と慢性心不全を合併する患者では、血糖コントロールが不十分な場合には血糖コントロールの改善を目的として本剤25mgに増量することができる。ただし、慢性心不全に対して本剤10mg1日1回を超える用量の有効性は確認されていないため、本剤10mgを上回る有効性を期待して本剤25mgを投与しないこと。 |
心不全は多くの場合で、2型糖尿病や慢性腎臓病などの心腎代謝系の疾患と関連している。これらの臓器は相互に関連しているため、ある臓器が改善すると、別の臓器にも好影響をもたらす可能性がある。
心不全には、左室駆出率が低下した心不全と左室駆出率が保持された心不全の2つの形態がある。左室駆出率が低下した心不全とは、心臓が正常に収縮できない状態であり、左室駆出率が保持された心不全とは、心臓が十分に血液を溜められない状態をさす。
EMPEROR慢性心不全の臨床試験プログラムは、2型糖尿病合併または非合併の左室駆出率が保持された慢性心不全(HFpEF)患者または左室駆出率が低下した慢性心不全(HFrEF)患者を対象に、ジャディアンスの1日1回投与による治療をプラセボと比較検討する以下の2つの第3相無作為化二重盲検試験で構成される。
主要評価項目:判定心血管死または判定HHF(心不全による入院)の最初の事象までの時間 ・ EMPEROR-Preserved試験:左室駆出率が保持された慢性心不全(HFpEF)の成人患者におけるジャディアンスの安全性と有効性を評価した。
主要評価項目:判定心血管死または判定HHF(心不全による入院)の最初の事象までの時間
今回の承認(一部変更)は、ジャディアンスが心血管死または心不全による入院の複合リスクをプラセボと比較して有意に25%低下させることを示したEMPEROR-Reduced試験の結果にもとづく。
主要評価項目に関する結果は、2型糖尿病合併の有無にかかわらず、サブグループ間で同様の結果を示した。試験の重要な副次評価項目の解析から、ジャディアンスは心不全による入院の初回および再発のリスクをプラセボと比較して30%低下させるとともに、腎機能の低下を有意に遅らせることが明らかになった。
また、EMPEROR-Reduced試験におけるジャディアンスの安全性プロファイルは、これまでに確立されたジャディアンスの安全性プロファイルと同様だった。
Empagliflozin in Heart Failure with a Preserved Ejection Fraction(New England Journal of Medicine 2021年10月14日)
Cardiovascular and Renal Outcomes with Empagliflozin in Heart Failure(New England Journal of Medicine 2020年10月8日)
EMPagliflozin outcomE tRial in Patients With chrOnic heaRt Failure With Reduced Ejection Fraction(EMPEROR-Reduced)(ClinicalTrials.gov)
EMPagliflozin outcomE tRial in Patients With chrOnic heaRt Failure With Preserved Ejection Fraction (EMPEROR-Preserved)(ClinicalTrials.gov)