【新型コロナ】ワクチン接種証明義務化による接種率への影響は?
Mills氏らは、ワクチン接種証明や最近の検査での陰性証明、またはCOVID-19に罹患後の治癒証明などの認証制度を導入した6ヵ国(デンマーク、イスラエル、イタリア、フランス、ドイツ、スイス)のワクチン接種状況の変化を、未導入の19ヵ国を対照国として比較検討した。その結果、認証制度を導入した国では、導入の20日前からワクチン接種が増え、導入から40日後までその効果が持続することが明らかになった。
認証制度導入前のワクチン接種率が、全体平均を下回っていた国では、接種率が平均以上であった国に比較して、制度導入による接種率の上昇がより顕著だった。一例を挙げるとフランスは、導入20日前から導入日までの人口100万人当たりワクチン接種回数は、比較対照国の平均よりも5万5,672回(95%信頼区間4万9,668~7万3,707)有意に多く、導入後40日間も7万2,151回(同3万7,940~11万4,140)有意に多い状態が続いていた。
一方、認証制度導入以前に既にワクチン接種率が平均レベルに到達していた国では、制度導入による接種率上昇のブースター効果は見られなかった。例えばドイツでは、人口100万人当たりワクチン接種回数の比較対照国平均との差が、導入20日前以降が5,767回(同-1万7,284~2万614)、導入後40日間は1万9,979回(同-2万5,480~4万6,206)であり、いずれも有意でなかった。また、ワクチンの供給が十分でない時期に認証制度を導入した国(デンマーク)も、制度導入のブースター効果は明らかでなかった。
年齢層別に検討すると、30歳未満の層で認証制度導入による接種率の上昇が顕著だった。また、スイスでは、ナイトクラブや参加者が1,000人を超える大規模イベントでワクチン接種証明が必要と定めたことが、20歳未満の若年者のワクチン接種率上昇に寄与していた。同国では、ワクチン接種証明を必要とする機会がより広範囲に設定されるに従い、30~40代のワクチン接種率を押し上げる効果も認められるようになった。
著者らは、「ワクチン接種証明などの認証制度の導入はワクチン接種率を上昇させる可能性がある。ただし、制度導入時点のワクチン接種率やパンデミックの状況などによってその効果は異なると考えられる。本研究結果の解釈を、これから認証制度を導入しようとする国にも外挿可能かは、個別に考慮すべき」と述べている。
[HealthDay News 2021年12月22日]
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