【新型コロナ】1,5-AG検査がCOVID-19患者のストレス性高血糖と重症度の有効なマーカーに 米国糖尿病学会で発表
このほど、Precision Diabetes社とスペインのPatia社は、血中のGlycoMark検査がCOVID-19患者、とくに糖尿病のない患者で、ストレス性高血糖と重症度の有効なマーカーの可能性を示す研究を発表した。研究は、第81回米国糖尿病学会(ADA)学術会議でLate Breaking Abstractとして発表された。
1,5-AG、HbA1c、空腹時血糖値の死亡予測値を比較
GlycoMarkは、血清および血漿中の1,5-AGを測定する検査で、2003年に米国食品医薬品局(FDA)の510(k)承認を取得している。日本化薬はGlycoMarkの測定試薬を製造している。
「血中1,5-アンヒドログルシトールとCOVID-19患者の重症度との関連」という研究は、COVID-19の重症度に対する血糖コントロールの影響を評価するために設計された。研究は、スペインのクルセス大学病院で実施され、糖尿病の有無にかかわらず563人の患者が評価された。
GlycoMarkは、全患者の横断的分析で、軽症および重症のCOVID-19患者を有意に識別した。とくに糖尿病のない患者で大きな差異がみられ、COVID-19症例のうち重症例の23.3%と、軽症例の10.6%で1,5-AGレベルの変動が示された。最近の複数の研究と一致して、HbA1c、空腹時血糖値、または1,5-AGによって測定された高血糖は、糖尿病患者のCOVID-19重症度との関連を示さなかった。
「1,5-AG検査は、糖尿病と診断されていないCOVID-19患者のストレス性高血糖と重症度を特定するのにもっとも役立つ可能性があります。高血糖は非糖尿病患者では明らかではなく、COVID-19患者の死亡率を含む転帰は非常に重要です。こうした患者は、集中的なケアと治療の恩恵を受ける可能性が高いからです」と、Patia社の医療ディレクターであるMirella Zulueta氏は述べている。
COVID-19患者での1,5-AG、HbA1c、および空腹時血糖値の死亡予測値を比較する臨床試験は、米国とヨーロッパで完了しており、詳細は2021年第3四半期に報告される予定。
Precision Diabetes社は、米国、欧州、オーストラリア、アジア太平洋地域、中東、およびメキシコでのGlycoMark試験の独占的サプライヤーになっている。また、Patia社は、2型糖尿病と妊娠糖尿病のリスク評価、予防および管理するためのプラットフォームソリューションなどを開発している。
1,5-AGはグルコースと似た構造をもつ糖類の一種で、体内には主に食物から摂取され、ほとんど代謝されずに一定量がプールされる。1,5-AGは腎尿細管で99%以上再吸収されるが、血糖値が高くなり尿糖が出ると、1,5-AGの体内への再吸収がグルコースにより阻害されるため、1,5-AGは尿中へ排泄され、その結果、血液中の1,5-AG濃度は低くなる。採血時からさかのぼり過去数日から1週間の血糖変動を反映するとされ、参考基準範囲は14μg/mL以上。HbA1cに比べ、食後などの短時間の高血糖を敏感に把握できる指標だ。