『高血圧管理・治療ガイドライン2025』6年ぶりの改訂 患者背景に関わらず降圧目標を一律130/80mmHgに
今回の改訂では降圧目標が変更となり、患者背景に関わらず一律「診察室血圧 130/80mmHg(家庭血圧 125/75mmHg)」に設定された。

国民、患者、医療者が血圧を下げる行動につながる内容を目指して作成
日本の高血圧者は約4,300万人といわれているが、治療によって血圧が良好にコントロールされているのはわずか27%程度と、主要経済国のなかの最低レベルの血圧管理状況となっている。
この状況に関して、国民における高血圧への理解、また医療者における高血圧への積極的な対応が十分にはなされていないとの指摘がされている。そこで今回の改訂では、国民、患者、医療者が血圧を下げる行動につながる内容とすべく作成された。
降圧目標を一律「診察室血圧 130/80mmHg」に変更
大きな改訂として、降圧目標が全患者で統一された。2019年版では、75歳以上の高齢者、また両側頸動脈狭窄などのある脳血管障害患者、尿蛋白陰性のCKD患者では「診察室血圧 140/90mmHg」としていたが、厳格な血圧治療による心血管イベント抑制の観点から、患者背景に関わらず降圧目標を一律「診察室血圧 130/80mmHg」としている。ただし降圧の際は、症候性低血圧、起立性低血圧、急性腎症買い、電解質異常といった、有害事象の発症には注意することも示されている。
また今回の改訂で、降圧薬のグループ分類が新設された。またそれに基づく降圧薬治療のSTEPが示されており、糖尿病合併高血圧についてもSTEPを遵守することとされている。降圧薬は、従来のRA系阻害薬(ARB、ACE阻害薬)、Ca拮抗薬、サイアザイド系利尿薬に加え、β遮断薬が第一選択として挙げられている。β遮断薬は、2019年版では耐糖能異常では慎重投与となっていたが、今回「重要な注意の下で使用可能な病態」と変更された。尿中微量アルブミン尿または蛋白尿の合併がある場合は個別に対応し、腎症振興抑制を目的にRA系阻害薬の投与を検討する。
第1部:国民の血圧管理
第1章 高血圧の疫学
第2章 血圧スクリーニング
第3章 国民の生活習慣改善
第4章 社会全体での対策
第2部:高血圧患者の管理・治療
第5章 血圧測定と臨床評価
第6章 管理および治療の基本
第7章 生活習慣の改善
第8章 薬物治療
第9章 高血圧性臓器障害の診断と高血圧治療
第10章 他疾患やライフステージを考慮した対応
第11章 コントロール不良の高血圧
第3部:特殊な病態および二次性高血圧の管理・治療
第12章 治療抵抗性高血圧
第13章 周産期女性の高血圧
第14章 小児領域の高血圧
第15章 二次性高血圧