「認知症対策」は待ったなし スマホで認知症予防プログラムに参加 神戸大学がJA共済連などと協業
認知症予防プログラム「コグニケア」を開発
高齢化が進む日本では、認知症の高齢者も急速に増加しており、厚生労働省による推計数によると、2025年の高齢者の認知症患者は730万人に及ぶ。
そうした状況を受け、神戸大学は、理系・文系を問わず多様な学問分野の専門家が連携して、2018年に「認知症予防プロジェクト」を発足し、2020年に認知症予防推進センターを設立した。
認知症は、年齢を重ねるとともに発症しやすくなる病気だ。ある日起きたらなっている、というような病気ではなく、少しずつ脳の中で変化が起き、知らぬ間に脳が萎縮し、そして記憶などの脳の機能が低下する経過の長い病気だと理解されている。
この10年に発表された研究から、認知症の予防につながるさまざまなポイントがかなり分かってきた。そこで同大学は、そうした成果を取り入れて、認知症予防プログラム「コグニケア」を開発した。
「コグニケア」の名前は、"認知"を意味する"コグニション"と"ケア"を組み合わせた造語で、適切な認知機能のケアをしていこうというもの。
プログラムでは、認知症に良いとされる、▼運動、▼二重課題運動(デュアルタスク)、▼社会的なコミュニケーションの維持、▼認知症に関する定期的なレクチャー、▼年に1度の運動・認知機能評価などを実施していく。
「拠点型コグニケア」と「オンライン型eコグニケア」の2つの形態を用意
「コグニケア」で行う運動や学習のプログラムは、フレイル(老化による活力低下)や2型糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防対策にもつながり、その参加を通じて健康寿命の延伸を期待できるとしている。
具体的には、▼認知症予防につながる運動のやり方、頭の鍛え方を学び、▼認知症に対する正しい知識を得て、その活動の意味を十分に理解し、▼年に1回の頭と体の検査により、身体機能や認知機能が維持されていることを確認する――という3つの要素を1つのパッケージにして提供する。
プログラムは、(1)「頭と体の運動教室」、(2)「健康づくりセミナー(学習&交流)」、(3)「健康状態の見える化」の3要素がパッケージされている。参加形態は、運動教室や認知機能検査を教室に集まって受講する「拠点型コグニケア」と、自宅からPCやスマートフォンで受講する「オンライン型eコグニケア」がある。
JA共済の利用者や地域住民を対象に認知症予防プログラムを提供
神戸大学認知症予防推進センターと、ITヘルスケアなどを提供しているMoffは、全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)とともに、農家・地域住民の健康増進をはかるサービスを提供するため、協業を開始した。
JA共済は、組合員・利用者・地域住民の健康増進を総合的にサポートする取組み「げんきなカラダプロジェクト」を実施している。JAの総合事業の強みを活かし、JAグループ各団体と連携した取組みを進め、ヘルスケアにかかる各種サービスを提供する企業などとも協業し、活動を展開している。
このプロジェクトで、「認知症共済」の契約者向けに、認知症予防・健康増進プログラム「eコグニケア powered by Moff」の優待提供を4月から開始した。
同プログラムは、神戸大学とMoffが共同で開発した、パソコンやスマホを使い自宅で参加できるオンライン型の認知症予防・健康づくりサービス。神戸大学が開発した運動教室、Moffが開発したデジタル体力測定、さらには認知機能検査、健康づくりセミナーなどがセットになっている。
利用者が健康増進の必要性に気づき、活動を実践するきっかけづくりを行うことで、1人ひとりが自分のペースで、無理なく楽しみながら健康を維持・改善できる取組みを目指すとしている。
eコグニケアpowered by Moffのサービス内容
神戸大学認知症予防推進センター
神戸大学コグニケア 認知症予防プログラム 認知症を学び、予防を目指そう
オンライン型認知症予防・健康増進プログラム 「eコグニケア」
JA共済「げんきなカラダプロジェクト」