軽症COVID-19でも肥満者は呼吸器症状が有意に多い

2021.11.04
 肥満が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症化リスク因子であることはパンデミックの初期から指摘されているが、入院を必要としない軽症のCOVID-19でも肥満者は呼吸器症状の発現頻度が高く、症状持続期間が長いことが、新たに報告された。米ロサンゼルス小児病院のPia Pannaraj氏らの研究によるもので、詳細は「Influenza and Other Respiratory Viruses」に10月19日掲載された。

 この研究の対象は、2020年6月~2021年1月に、同院と関連病院で外来治療を受けたCOVID-19患者、およびその家族など552人。そのうち470人(85.1%)が新型コロナウイルス検査の結果が陽性だった。年齢層別の患者数は、成人(18歳以上)が261人(55.5%)、思春期の未成年(12~17歳)が61人(13.0%)、小児(12歳未満)が148人(31.5%)だった。

 症状の有無や程度を年齢層別に検討すると、小児は未成年や成人に比較して現れた症状の数が少なく(中央値2対3、P<0.001)、また症状の持続期間が短かった(同5対7日、P<0.001)。次にBMIステージで比較すると、BMI25以上で過体重や肥満に該当する群300人(63.8%)は、BMI25未満の群に比較して、呼吸器症状が多く(咳はP=0.023、息切れはP=0.026)、症状の数にも有意差が見られた(同3対2、P=0.037)。

 過体重・肥満に該当する未成年は普通体重以下の未成年に比較し、症候性であることが多く(66.7対34.2%、P=0.008)、呼吸器症状の持続期間が長かった(同7対4日、P=0.049)。小児では、BMIステージによる症状の数や持続期間の有意差は見られなかった。

 過体重・肥満者群のRT-PCR検査でのCt値は25.1であり、これは普通体重以下の群の26.4と有意差がなかった(P=0.19)。この結果から、過体重や肥満者では普通体重以下の人と同等のウイルス量であっても症状が多く出現し、かつ、それらの持続期間が長いことが明らかになった。なお、年齢で比較すると小児は未成年・成人よりもウイルス量が有意に多く(P=0.022)、また症候性感染者のウイルス量は無症候性感染者より有意に多かった(P=0.001)。

 著者らは、「これらの知見は、過体重・肥満者に対するワクチン接種の重要性を強調するものだ」と結論付けている。また、「臨床医が軽症COVID-19患者に対して予想される経過を伝える際に、患者が過体重・肥満に該当する場合は、やや慎重な情報提供をすべきかもしれない」と述べている。

 なお、1人の著者が、製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

[HealthDay News 2021年10月26日]

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