CGMデータ等からAIがアドバイスを生成し2型糖尿病の血糖管理を改善

2025.09.16
人工知能(AI)により個々の患者に適したライフスタイル上のアドバイスを生成するシステムを用いることで、2型糖尿病患者の血糖管理状態が改善したとする、米クリーブランド・クリニックのKevin M. Pantalone氏らの研究結果が8月20日、「NEJM Catalyst」に報告された。

 2型糖尿病の治療においては生活習慣の改善が重要とされ、そのためにさまざまな治療サポートが行われてきているが、患者の行動変容・血糖管理改善を達成することは、いまだ困難なことが少なくない。一方で近年のAIや機械学習のテクノロジーが、従来にない治療サポートを実現可能にしている。

 本研究で用いられた「Twin Precision Treatment」というシステムは、臨床検査データや持続血糖モニター(CGM)などのウェアラブルデバイスから得られる血糖値や血圧、および体重などのデータをBluetoothで統合。それらのデータをAIが解析して、患者ごとに最適化した食事や運動のアドバイスを生成し、日々の生活習慣の改善を働きかけるというもの。研究参加者は、BMIが27以上の成人2型糖尿病患者150人で、本システムを使用する介入群(100人)と通常ケアを継続する群(50人)に、ランダムに割り付けた。

 主要評価項目として設定されていた、メトホルミン以外の血糖降下薬を用いずに介入12カ月時点でHbA1c6.5%未満を達成した患者の割合は、介入群では71.0%(95%信頼区間60.1~80.0)に上った。それに対し、通常ケア群は2.4%(同0.5~11.6)にとどまっていた(P<0.001)。

 副次評価項目として設定されていた、介入12カ月経過以前にHbA1c6.5%未満を達成しその状態が90日以上維持されていた患者の割合も、介入群の方が有意に高かった(52.5対2.8%、P<0.001)。また、介入期間中のHbA1c低下幅や(-1.3対-0.3%)、体重の減少率(-8.6対-4.6%)も、介入群の方が大きかった(いずれもP<0.001)。

 事後解析では、介入群で血糖降下薬の処方量が有意に減少していた一方、通常ケア群では変化がなかった。さらに、探索的に解析された、生活の質(QOL)と治療満足度のスコアについても、介入群でのみ改善が見られた。

 Pantalone氏は、「このシステムを用いることで、個々の患者の代謝プロファイルが考慮され、個別化されたアドバイスを示すことが可能になる」と述べている。同氏はまた、「このシステムが、ある特定の集団においてのみ優れた結果につながるということはなく、大半の患者に有用と考えられる」としている。

 なお、一部の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を開示している。

(HealthDay News 2025年8月28日)

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