解熱鎮痛消炎剤のアセトアミノフェンと抗血小板剤のクロピドグレル硫酸塩に「重大な副作用」 厚労省が注意喚起
アセトアミノフェンに「薬剤性過敏症症候群」の副作用
厚生労働省は、解熱鎮痛消炎剤・総合感冒剤・鎮咳剤として使用されているアセトアミノフェンについて、重大な副作用として「薬剤性過敏症症候群」が起こる場合があるとして、注意を喚起している。
薬剤性過敏症症候群の初期症状としては、発疹、発熱がみられ、さらに肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現などをともなう遅発性の重篤な過敏症状が発現することがあるとしている
なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)などのウイルスの再活性化をともなうことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害などの症状が再燃あるいは遷延化することがあるとしている。
厚労省によると、薬剤性過敏症症候群では、「皮膚の広い範囲が赤くなる」「高熱(38°C以上)」「喉の痛み」「全身のだるさ」「食欲がない」「リンパ節が腫れる」といった症状が持続したり、急激に悪くなる。
114 解熱鎮痛消炎剤 118 総合感冒剤 222 鎮咳剤 |
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医薬品名 | アセトアミノフェン(経口剤、坐剤) トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン サリチルアミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・クロルフェニラミンマレイン酸塩 サリチルアミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・プロメタジンメチレンジサリチル酸塩 ジプロフィリン・ジヒドロコデインリン酸塩・dl-メチルエフェドリン塩酸塩・ジフェンヒドラミンサリチル酸塩・アセトアミノフェン・ブロモバレリル尿素 |
「医療用医薬品添付文書の記載要領について」にもとづく改訂 (下線は変更箇所) | |
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現行 | 改訂案 |
副作用 重大な副作用 (新設) |
副作用 重大な副作用 薬剤性過敏症症候群: 初期症状として発疹、発熱がみられ、更に肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。 |
クロピドグレル硫酸塩にも「インスリン自己免疫症候群」の副作用の可能性
さらに、抗血小板剤として使用されているクロピドグレル硫酸塩およびクロピドグレル硫酸塩・アスピリンについては、重大な副作用として「インスリン自己免疫症候群」が起こる場合があると、やはり注意喚起している。
インスリン自己免疫症候群では、重度の低血糖を引き起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うよう指示している。
厚労省によると、インスリン自己免疫症候群は、インスリン注射の既往がないにもかかわらずインスリンに対する自己抗体が産生され、低血糖発作を起こす疾患。
339 その他の血液・体液用薬 | |
医薬品名 | クロピドグレル硫酸塩 クロピドグレル硫酸塩・アスピリン |
「医療用医薬品添付文書の記載要領について」にもとづく改訂 (下線は変更箇所) | |
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現行 | 改訂案 |
副作用 重大な副作用 (新設) |
副作用 重大な副作用 インスリン自己免疫症候群: 重度の低血糖を引き起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 |
その他の注意 本剤投与中に、重度の低血糖を引き起こす可能性があるインスリン自己免疫症候群が発症したとの報告があり、HLA型を解析した症例の中には、インスリン自己免疫症候群の発現と強く相関するとの報告があるHLA-DR4(DRB1*0406)を有する症例があった。なお、日本人はHLA-DR4(DRB1*0406)を保有する頻度が高いとの報告がある |
その他の注意 インスリン自己免疫症候群の発現はHLA-DR4(DRB1*0406)と強く相関するとの報告がある。なお、日本人はHLA-DR4(DRB1*0406)を保有する頻度が高いとの報告がある。 |
「使用上の注意」の改訂について (厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課 2023年1月17日)
医薬品・医療機器等安全性情報 (厚生労働省発行) (医薬品医療機器総合機構)