1型糖尿病への進行は膵体積の小ささとOGTTによる糖代謝指標により予測可能

2024.02.29
膵体積とOGTTで1型糖尿病への進行を予測可能

 糖尿病関連自己抗体陽性の状態から1型糖尿病への進行を、MRIで評価した膵体積と経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)による糖代謝関連指標とによって予測できることが分かった。米テキサス大学オースティン校のJohn Virostko氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetes Care」に12月27日掲載された。

 これまでの研究で、1型糖尿病患者は膵体積が小さいことが明らかになっている。しかし、1型糖尿病発症前段階において、膵体積が小さいことが病態進行の予測因子であるか否かは不明。これを背景としてVirostko氏らは、1型糖尿病進行予防に関する国際共同研究(TrialNet)参加者を対象とする検討を行った。

 この国際共同研究には、1型糖尿病患者の血縁者で、糖尿病関連自己抗体を有するハイリスク者が参加している。進行ステージは、自己抗体が出現した状態の「ステージ1」、血糖異常が生じ始めた状態の「ステージ2」、および臨床的に1型糖尿病と診断される「ステージ3」という3段階に分類される。

 今回の検討の解析対象は、複数の自己抗体が陽性の65人。ステージ3への進行予測因子として、MRIで計測した膵体積を体重で除した値(pancreas volume index;PVI)、および、OGTTによる血糖値とC-ペプチドから算出するIndex60とDPTRS(diabetes prevention trial–type 1 risk score)という指標を設定。それら単独、または組み合わせた場合の予測能を評価した。

 65人中11人が観察期間中にステージ3へ進行した。進行群と非進行群を比較すると、性別の分布、人種、BMI、MRI施行回数に有意差はなく、観察期間中央値は前者が18ヵ月、後者が7ヵ月で群間差は非有意であり(P=0.14)、平均年齢も同順に15.0±8.42歳、21.2±11.9歳で有意水準未満だった(P=0.054)。保有する自己抗体数は、前者が4.27±0.9、後者が2.72±1.5で前者の方が有意に多かった(P<0.001)。

 一方、PVI、Index60、DPTRSという3種類の進行予測因子は全て、ベースライン時点において有意な群間差が認められた。このうちPVIに関しては、ベースライン時点で0.88mL/kgをカットオフ値として二分した場合に、ステージ3への進行に有意なリスク差が観察された(P=0.013)。なお、PVIはIndex60(R2=0.005、P=0.63)やDPTRS(R2=0.01、P=0.48)とは有意な関連がなかった。それに対してOGTTに基づき算出されるIndex60とDPTRSは、正相関していた(R2=0.60、P<0.0001)。

 ステージ3への進行の予測能(AUC)は、PVIが0.76、Index60は0.79、DPTRSも0.79であり、PVIとDPTRSを組み合わせると0.91まで上昇した。

 これらの結果から、PVIとOGTTに基づく糖代謝関連指標は、ステージ3への進行のリスク評価に関して、それぞれ異なる要素を反映しているとみられ、よってそれらを組み合わせることでより優れた予測能が得られると考えられた。

 著者らは、「膵臓の画像所見は、1型糖尿病の予防を目的とした臨床試験において評価すべき、新たな指標となり得るのではないか」と述べている。

[HealthDay News 2024年2月15日]

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