体重コントロールで糖尿病が寛解 2型糖尿病患者の5%が寛解に至る スコットランド

2021.11.18
2019年にスコットランドの2型糖尿病患者の5%が寛解

 スコットランドでは2019年の1年間に、成人2型糖尿病患者の約5%が寛解に至ったとする、英エジンバラ大学のMireille Captieux氏らの研究結果が11月2日、「PLOS Medicine」に掲載された。高齢、糖尿病診断時からの減量、診断時のHbA1cが低いことなどが、寛解により強く関連していたという。

 この研究は、2型糖尿病と診断されている30歳以上のスコットランド国民のうち、2019年12月31日時点で生存していたほぼ全ての患者を対象とする横断研究として実施された。コホート全体の2型糖尿病患者数は16万2,316人で、このうち78.5%は少なくとも1回は、HbA1c6.5%以上の検査データが記録されていた。また65歳以上が56%、白人74%であり、BMIは中央値32.3で、64%は罹病期間が6年以上だった。

 各患者が2019年1月1日~12月31日の間の最も年末に近い時期に受けたHbA1c検査の記録が6.5%未満であり、その時点で血糖降下薬が処方されておらず、かつ、その日から遡ること365日以内のHbA1cの全記録も同様に、血糖降下薬処方なしで6.5%未満であった場合に、「寛解に至った患者」と定義。すると、7,710人〔4.8%(95%信頼区間4.7~4.9)〕がこれに該当した。

 背景因子で層別化した解析により、高齢、診断時のHbA1cが低いこと、糖尿病診断後の体重減少、血糖降下薬が処方されていないこと、減量・代謝改善手術の既往が、寛解に至るオッズ比の有意な上昇と関連していた。性別に関しては有意差がなかった。具体的なオッズ比(OR)と95%信頼区間は以下のとおり。

 年齢に関しては45~54歳を基準として65~74歳はOR1.20(1.09~1.32)、75歳以上はOR1.48(1.34~1.62)、診断時HbA1cに関しては6.5~6.9%を基準として6.5%未満はOR1.31(1.24~1.39)、糖尿病診断後の体重変化に関しては0~4.9kg増を基準として5.0~9.9kg減でOR2.11(1.86~2.40)、10.0~14.9kg減でOR2.95(2.57~3.39)、15.0kg以上減でOR4.45(3.89~5.10)、血糖降下薬の処方に関しては処方ありに対して処方なしはOR14.57(13.66~15.54)、減量・代謝改善手術に関しては既往なしに対して既往ありでOR11.39(9.41~15.13)だった。

 Captieux氏は、「スコットランドの2型糖尿病成人患者の約20人に1人が寛解に達しているという実態が明らかになった。これは、これまで考えられていた値より高いと言える。この事実に基づき、臨床医による患者個々の適切なサポートを支持するため、ガイドラインの改訂が求められる」とまとめている。

 なお、著者のうち2人が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

[HealthDay News 2021年11月3日]

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