栄養管理アプリが糖尿病患者のHbA1c改善に寄与 AIの提案するレシピから個人が好みに合わせて選択
AIの提案するレシピから個人が好みに合わせて選択できる栄養管理アプリ 豊かな食生活と血糖管理を両立
京都府立医科大学とおいしい健康の共同研究グループは、栄養管理アプリ「おいしい健康」が、1型および2型糖尿病のある患者のHbA1c値を改善に寄与する可能性を検証した。
研究は、京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学の福井道明教授、濱口真英氏ら、おいしい健康の共同研究グループによるもの。研究成果は、「Diabetes, Obesity and Metabolism」に掲載された。
研究グループは、2022年1月~6月に日本で実施されたKAMOGAWA-DMコホート研究のデータを使用し、傾向スコアマッチ後ろ向きコホート研究を実施。1型および2型糖尿病の患者のデータを分析し、「おいしい健康」アプリを使用した群(アプリ群)と使用しなかった群(対照群)を3ヵ月間比較した。
年齢・性別・病歴・薬剤変更の有無などの調整を行ったうえで、アプリ群(n=47)と対照群(n=47)を比較したところ、アプリ群では、HbA1c値の中央値がベースラインで6.9%だったが、3ヵ月後には6.8%に減少し、HbA1cの改善がみられた。一方、対照群では、HbA1c値はベースラインで6.9%だったが、3ヵ月後に7.0%に増加した。
群間のHbA1c値の変化の中央値は統計的に有意で、アプリ群は対照群に比較して、有意なプラスの変化を示した(p =0.012)。
とくに「アプリ使用前のHbA1cが高値(7.0%以上)」の使用者では、3ヵ月後のHbA1cは平均0.4%減少した(p=0.014)。この間、低血糖による入院はなかった。
今回の研究について、福井教授は次のようにコメントしている。
私たちは糖尿病がある人に対する病態・治療の実態を明らかにするためにかねてからKAMOGAWA研究を実施しています。今回、このKAMOGAWA研究で、おいしい健康アプリを用いた人と用いなかった人を比較し、用いた人では血糖マネジメントが有利であったことが明らかとなりました。私たちはこの研究が、豊かな食生活を送ることと血糖マネジメントを行うことを両立させる可能性を示すものと考えております。
また、おいしい健康では研究結果を受け、「"自分や家族のより良い健康"のために最適なレシピを見つけ、AIを活用しながら献立を組むという”新しい食事づくりと健康維持のあり方”の有効性が示されたものと考えます。今後も引き続き、毎日の食事を通じて健康を向上するAI献立アプリの開発・普及に努めるとともに、疾患予防・治療を目的としたプログラム医療機器(SaMD)の研究開発・薬事申請を進めてまいります」とコメントしている。