【新型コロナ】国産COVID-19ワクチンの国内第2/3相試験の中間報告 ファイザー製に劣らぬ効果 塩野義
国産ワクチンのファイザー製に対する非劣性を検証 全身副反応/局所副反応の発現率は同等以下
塩野義製薬は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する予防ワクチン「S-268019」について、実施中の国内第2/3相追加免疫試験に関する中間報告を発表した。
第2/3相国内追加免疫比較試験では、ファイザーのコミナティ筋注を2回接種後6ヵ月以上経過した成人206例を対象に、追加免疫29日目(接種28日後)の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)中和抗体価のGMT(幾何平均抗体価)および抗体応答率を主要評価項目とした。抗体応答率は、SARS-CoV-2中和抗体価がベースラインに比べて4倍以上となった被験者の割合を示す。
3回目にあたる追加免疫として、S-268019あるいはコミナティを接種した際の、コミナティに対する免疫原性の非劣性検証および安全性評価を目的に実施した。プロトコールで事前に実施を定めた中間報告は、29日目(接種28日後)までのすべての被験者のデータをもとにした結果。
その結果、主要評価項目である追加免疫29日目(接種28日後)のSARS-CoV-2中和抗体価のGMTおよび抗体応答率に関して、S-268019群のコミナティ群に対する非劣性が検証され、同試験の主要評価項目を達成した。
安全性に関しては、両群で、重篤な副反応、死亡、とくに注目すべき副反応はみられておらず、副反応の発現率は、S-268019群で96.1%(99/103例)、コミナティ群で98.1%(101/103例)であり、もっとも頻繁にみられた副反応は、発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、注射部位の痛みだった。
両群でほぼ全ての特定全身副反応(接種7日後までの期間に発現した発熱、悪心/嘔吐、下痢、頭痛、倦怠感、筋肉痛、関節痛、悪寒)と局所副反応(接種7日後までの期間に発現した注射部位の痛み、紅斑/発赤、腫脹)はGrade 1あるいはGrade 2だった。特定全身副反応/局所副反応について、S-268019群はコミナティ群と比較していずれも発現率が同等以下だった。
同社では現在、同臨床試験を含む最終段階の5つの臨床試験を実施中。国内の承認申請に向けて、2022年2月より医薬品医療機器総合機構(PMDA)との事前評価相談を開始しており、現在実施中の臨床試験の進捗ならびに結果にもとづき、厚生労働省やPMDAなどと協議を進めるとしている。
なお、同臨床試験は東京品川病院(治験責任医師:新海正晴)で実施されており、中間報告に関しては論文を投稿中としている。