膵β細胞量を可視化する新規PET検査 1型糖尿病のβ細胞量を画像で評価できる可能性 京都大学

2026.03.18
京都大学は、減少する膵β細胞を体外から可視化し定量評価できる新たなPET/CT検査を開発し、その画像指標が血糖の状態やインスリン注射の必要量と関連することが示されたと発表した。研究グループは本技術について、1型糖尿病の発症予防も含めた早期診断や、β 細胞量を回復させるような薬剤の開発、さらにはそれらの治療効果の可視化に役立つことが期待されるとしている。

 1型糖尿病では、膵臓の膵β細胞が自己免疫などにより減少し、病状が進行するとインスリン注射が不可欠となる。膵β細胞がどの程度残存しているかは、低血糖を含む血糖変動や治療反応性に関わると考えられ、病期評価において重要な指標である。

 しかし、膵β細胞量を直接評価する方法は限られており、これまでは剖検による解析や血中Cペプチドなどからの間接的な推定に頼らざるを得なかった。Cペプチドは血糖状態や分泌機能の影響を受けやすく、病状が進行すると測定が困難となる場合がある。

 一方、膵β細胞に多い受容体を標的としたPET検査が有望とされてきたが、用いるプローブや撮影条件によっては、糖尿病のない人と1型糖尿病のある人の違いが明瞭でない場合があることや、臨床指標との関連が十分に整理されていないことが課題であった。そこで本研究では、18F標識の新規プローブを用いたPET/CTにより、β 細胞を非侵襲で定量評価し、病期評価の基盤を作ることを目的に研究を設計した。

 本研究では、1型糖尿病を持つ人を対象に、膵β細胞に多く発現するGLP-1受容体を標的とした新規PETプローブ([18F]FB(ePEG12)12-exendin-4)を用いたPET/CT検査を実施。安全性を確認しながら画像を定量的に解析した。

 その結果、1型糖尿病を持つ人では、糖尿病のない人と比較して膵臓の信号が低いことが示された。1型糖尿病のうち、特に内因性インスリン分泌がほとんど認められない人では、糖尿病のない人と明瞭に区別できることが確認された。また、この画像指標は、血糖マネジメントの状態や治療に使うインスリンの必要量と関連していた。撮影時に重大な副作用は認められず、本手法が臨床検査として実施可能であることが確認された。

 研究グループは「本研究成果により、これまで間接的にしか評価できなかった1型糖尿病の β細胞量を、画像として把握できる可能性が示された。今後、免疫療法など β 細胞の減少を抑える発症予防・進展阻止治療や、再生医療・細胞治療の開発において、治療効果を客観的に評価する指標としての活用が期待される。また、病期を正確に把握することで、発症予防を含めた治療方針の検討や個別化医療にも貢献する可能性がある」としている。

 本研究は、京都大学大学院医学研究科 助教 村上隆亮氏、同研究生 榊健太郎氏、同教授 矢部大介氏、同教授 中本裕士氏、名誉教授 稲垣暢也氏らの研究グループにより実施され、研究成果が2026年3月12日付で「Diabetes」にオンライン掲載された。

[ 糖尿病リソースガイド編集部 / 日本医療・健康情報研究所 ]

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