【新型コロナ】ワクチン接種への病院の対応 7割弱が「予約管理」に課題を感じている 病院ごとに創意工夫で乗り切る構え
ワクチン接種で困っている点や課題に感じている点は、「予約管理」(66.7%)、「接種人材の確保、役割分担」(57.1%)、「院内での接種会場の確保」(52.4%)、「円滑に接種するための動線」(47.6%)、「受付、問診」(42.9%)が多かった。
7割弱が予約管理に課題 予診票の事前記入を周知、院内スペースを確保、動線に工夫
「病院では、医療従事者向けのワクチン接種と並行して、高齢者向けの接種が始まるなか、接種体制への諸課題に対して、各病院が創意工夫して乗り切ろうとしていることが浮き彫りになりました」と、同社は述べている。
病院の多くは、予診票の記入に手間取ると、接種希望者が滞留してしまうことから、事前の記入を促している。また院内のスペース確保では、休棟している病棟を活用したり、関連施設のレストランを開放したりするケースもみられた。
病院職員への接種に関する病院の取り組みとして、次のようなコメントが寄せられた。
「予診票をスムーズに記入できるよう、ガイダンスをつけた。30分経過観察するアレルギー体質者を識別できるよう、タグを首から下げてもらうようにした。接種会場前に受付を設置し、接種後は隣の待合室で安静にしてから帰れるような流れにした」。
「円滑に接種するために、休棟している病棟を接種会場にし、動線を一方通行にした。接種した職員同士が接する機会を減らした。アナフィラキシーショック等副反応が出た場合に、速やかに空いているベッドで経過観察できるようにした」。
「問診に時間がかからないよう、事前に感染担当者が予診票に目を通した。アレルギーや基礎疾患があり医師と相談したい職員は、事前に相談できるようにした。30分待機の人(基礎疾患や投薬、アレルギー歴のある該当者)が誰か分かるよう、座る椅子で区別した。翌日にできるだけ休みが取れるよう、接種希望日を申告制にしてスケジュールを作成した」。
また、病院関係者からは、次のようなコメントも聞かれたという。
「接種をしていない職員(医師・看護師)が高齢者への接種を行うケースが発生している。こういったことに国・都道府県・市町村・医師会は目を向けるべきだと思う」。
「職員向けの接種で、2回目の接種後はなるべく2日間休めるようにしたが、あまりに副反応が出たため、看護職員が手薄になった」。
「キャンセル時の代替接種者は確保していたが、そもそもリソースを最小限にしているため、忘れているだけなのかキャンセルなのか、確認自体に労力を要した」。
「予約管理については自院で受け付けず、接種者には自治体のシステムをご利用いただいているが、予約情報が断片的(カナ氏名なし、性別なし、住所なし)で困っている。またシステムが不安定で、電話問合せが多く現場が疲弊している」。
病院が行っている新型コロナワクチン接種の取組みの一例
■ 会場、動線
・ 午後休診の診療科や院外の関連施設を活用した。
・ 接種後の待機場所にはリラックスできるビデオや音楽を流した。
・ 予約時間まで車で待機してもらい、混雑を防いだ。
・ 待機場所は、必ず医療者が近くにいる場所にした。
・ 接種の流れや接種後の注意点などがわかるように映像を作成し、院内各所のモニターに映し出し、受付待ち、問診待ち、接種待ちしている間に見てもらえるようにした。
・ 受付後は接種会場の座席に着座のまま、医師・看護師が巡回し予診~接種~待機まで行っている。接種者が移動・待機を繰り返すことをなくし、会場をコンパクトにした。
■ 受付、問診
・ 予約制のため、事前に予診票を配り書いてもらった。
・ 当日受付票を発行し、接種時間・待機時間を記入できるようにした。
・ 役割ごとに、受付を3つに分けた。
(1) 予約確認受付・・・指定された日時に来院しているかの確認、必要な持ち物の確認
(2) 接種受付・・・本人確認、予診票の記載確認
(3) 接種後受付・・・接種済証の記載、発行
■ 副反応への対応
・ 職員向けの接種で、副反応が出る可能性を考慮し、金曜日により多くの接種枠を設けた。
・ (ワクチン接種で通常業務が滞らないよう、)同日に同部署から何人も接種しないようにした。
・ 外来看護師は極力、金・土曜日に接種するようにし、翌日が休日となるようにした。
・ 休みがとりやすいように副反応でつらい時は、特別休暇扱いとした。