空腹時血糖値、年齢、男性、BMIはすべて糖尿病の発症に関連
米メイヨー・クリニックのAoife M. Egan氏らの研究の結果であり、詳細は「JAMA Network Open」に1月23日掲載された。同氏らは「この結果は、FPGが正常域であるにもかかわらず糖尿病発症リスクが高い集団の特定と介入に役立つ」と述べている。
糖尿病患者数増大の効果的な抑止策立案のため、発症リスク因子の詳細な検討が必要とされ、多くの疫学研究が行われてきている。そのひとつとして、同クリニックのあるミネソタ州オルムステッド郡で実施されている地域住民対象研究(Rochester Epidemiology Project;REP)からもすでに、FPGが糖尿病発症リスクと強固な関連のあることが報告されている。
ただしその報告は、近年の肥満パンデミック前のデータにもとづく解析であり、またFPG以外の因子が十分検討されていない。そこでEgan氏らは今回、改めてREPの最新データを用いた解析を行った。
2005~2017年にFPGが2回以上測定されていて、初回の測定以前に糖尿病の既往のない4万4,992人(平均年齢 43.7±11.8歳、女性 57.8%、BMI 28.9±6.6)を解析対象とした。
FPG125mg/dL超を糖尿病と定義すると、中央値6.8年の追跡期間中に3,879人(8.6%)が糖尿病を新規発症していた。カプランマイヤー法による10年間の糖尿病発症累積リスクは、12.8%[95%信頼区間 12.4~13.2]だった。
多変量Cox比例ハザード回帰モデルでの解析の結果、FPGが80~94mg/dLを基準として、この範囲外のFPGレベルはすべて、糖尿病発症リスクの増大と関連していた[70~79mg/dLでハザード比(HR) 1.58、95%信頼区間 1.28~1.95][95~99mg/dLはHR 1.29、同 1.16~1.42]。
FPG以外の独立したリスク因子として、男性[HR 1.31、同 1.22~1.40]、高齢[30.0~54.9歳を基準として55.0~59.9歳はHR 1.33、同 1.21~1.47]、BMIの適正範囲逸脱[BMI 18.5未満はHR 2.42、同 1.77~3.29、BMI 25.0~29.9はHR 1.36、同 1.22~1.52、BMI 30.0~34.9はHR 2.11、同 1.89~2.35]が特定された。
また、FPGとBMIは相加的な作用が認められた。例えばBMI 18.5〜24.9でFPG95〜99mg/dLの55.0〜59.9歳の女性では、10年間の糖尿病リスクは7.0%だが、BMI 30.0~34.9の場合のリスクはほぼ2倍の13.0%であり、それにFPG 105~109mg/dLが加わるとリスクはさらに2倍以上の28.0%へと上昇すると計算された。
本研究では、上記の解析結果にもとづき、10年間の糖尿病発症リスクを、minimal(リスク5%)、low(同 12%)、moderate(26%)、high(56%)の4段階で簡便に判定可能なノモグラムが作成された。
たとえば、男性は1点、年齢 55.0~59.9歳で2点、BMI 25.0~29.9で1点、FPG 115~119mg/dLで7点、計11点であり、10点以上のためリスクがhighに該当することが分かる。
著者らは、「本研究で検討した変数を把握することで、糖尿病とその合併症の抑制戦略を個別に検討する際に、リスク/ベネフィットの評価が容易になる」と述べている。
なお、1人の著者がノボノルディスク社およびRezolute社との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。
[HealthDay News 2025年1月29日]
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