妊娠糖尿病への経口血糖降下薬の投与 インスリンに対する非劣性は証明されず RCTを実施
妊娠糖尿病へのOHAは対インスリンで非劣性が証明されず
妊娠糖尿病の薬物療法として、経口血糖降下薬(OHA)はインスリンに対する非劣性基準を満たさないとする論文が、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に1月6日掲載された。アムステルダム大学医療センター(オランダ)のDoortje Rademaker氏らが報告した。
妊娠糖尿病に対する血糖管理として、食事療法の効果が十分でない場合には薬物療法が行われる。その際、安全性や効果の確実性の点でインスリンが第1選択薬となるが、代替的にメトホルミンなどのOHAが使用されることがある。
しかし、それによる周産期転帰への影響は十分検討されていない。Rademaker氏らは、新生児の出生時体重が在胎週数に対して過大(large-for-gestational-age;LGA)となるリスクという点で、OHAがインスリンに対して非劣性か否かを検討した。
この研究には、オランダ国内の25施設が参加し、非盲検ランダム化比較試験として実施された。2016年6月~2022年11月に、妊娠糖尿病と診断後2週間の食事療法にもかかわらず血糖管理不十分と判定された、妊娠16~34週の単胎妊娠の妊婦820人(平均年齢33.2±4.7歳)を登録。2023年5月まで追跡した。なお、血糖管理不十分の判定基準は、血糖自己測定での空腹時血糖値が95mg/dL超、食後1時間値が140mg/dL超、食後2時間値が120mg/dL超。
ランダムに2群に分け、1群をOHA群(409人)として、メトホルミンを1日1回500mgから開始し3日ごとに1日2回1,000mgまたは最大耐容量まで増量した。
血糖管理目標に到達しない場合はグリベンクラミドを追加し、さらに管理不十分な場合はグリベンクラミドをインスリンに切り替えて投与した。
なお、OHA群の79%(320人)はインスリン投与を要さず血糖管理が維持された。一方、インスリン群(411人)ではインスリンの投与量を規定せず、施設ごとの慣行により調節した。
主要評価項目はLGA(出生時体重が90パーセンタイル超)の新生児の割合であり、副次的に母体低血糖、帝王切開、妊娠高血圧症候群などの発生率を評価した。
結果として、OHA群ではLGA児の割合が23.9%(97人)であったのに対して、インスリン群では19.9%(79人)であり、絶対リスク差4.0%(95%信頼区間-1.7~9.8)で、信頼区間が非劣性マージンとして設定されていた8%を超過した。これにより、非劣性基準を満たしていないと判定された[非劣性のP=0.09]。
副次評価項目のうち母体低血糖は、OHA群の20.9%、インスリン群の10.9%で報告された[絶対リスク差10.0%、95%信頼区間 3.7~21.2]。その他の副次評価項目に関しては有意な群間差がなかった。
なお、一部の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。
[HealthDay News 2025年1月9日]
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