CGMを非糖尿病者や糖尿病予備群にも使用 正常血糖群でも血糖値140mg/dL超が1日に3時間 180mg/dLを超える高血糖も確認

2024.10.02
 糖尿病のない人に持続血糖モニター(CGM)を使用したところ、そうした非糖尿病者の多くが長時間、血糖値が高い状態にあることが、米ボストン大学医学部などの研究で示された。

 正常血糖群であっても、血糖値が140mg/dLを超えた時間が1日に平均3時間あり、さらに多くの人は180mg/dLを超える高血糖も経験していたことが観察された。

 「非糖尿病者の多くが、これまで考えられていたよりも、ずっと長い時間、血糖値が高い状態にあることが分かった。持続血糖モニターの使用は、糖尿病未治療例の血糖値を広範囲に観察し、将来に糖尿病を発症する可能性のある人を予測し、糖尿病あるいは糖尿病予備群の管理目標を知るためにも役立つ可能性がある」と、研究者は指摘している。

正常血糖群でも140mg/dLを超えた時間が1日に3時間 糖尿病未治療例にCGMを使用

 糖尿病のない人に持続血糖モニター(CGM)を使用したところ、そうした非糖尿病者の多くが長時間、血糖値が高い状態にあることが、米ボストン大学医学部などの研究で示された。

 研究グループは、第3世代フラミンガム心臓研究のデータを使用し、平均年齢は58.5歳の対象者を、正常血糖群(normoglycemia、n=560)、前糖尿病群(prediabetes、n=463)、糖尿病群(diabetes、n=152)に振り分け比較した。参加者は腕または腹部に7日間以上、リアルタイムCGM(Dexcom G6 Pro)を装着した。

 正常血糖(高血糖あるいは高HbA1c値が確認されていない)の参加者の平均年齢は58.5歳、女性が64.5%、非ヒスパニック系白人が93.3%だった。研究グループは、5分ごとに測定した皮下間質液のグルコース値をもとにした血糖値の変動を解析した。

 その結果、血糖値が正常値(70~140mg/dL)だった時間の合計の平均は全体の87.0%だったが、血糖値が180mg/dL以上の時間は1.2%(1日に15分以上)、140mg/dL超の時間は12.1%(1日に約3時間)であることが示された。

 正常血糖群であっても、血糖値が140mg/dLを超えた時間が1日に平均3時間あり、さらに多くの人は180mg/dLを超える高血糖も経験していたことが観察された。

CGMで糖尿病未治療例の血糖値を広範囲に観察 HbA1cだけでは不十分

 「非糖尿病者の多くが、これまで考えられていたよりも、ずっと長い時間、血糖値が高い状態にあることが分かった。CGMに対して関心をもつ非糖尿病者は増えており、CGMセンサーの大手2社であるデクスコムとアボットは、米国で店頭で購入できるCGM製品の提供を開始した。CGMで得たデータを適切に解釈できるようにするため、血糖値の"正常"範囲を知ることは重要だ」と、同大学および米国国立心肺血液研究所(NHLBI)のNicole Spartano氏は述べている。

 さらに、血糖値が70~140mg/dLの時間の合計は、前糖尿病群で平均77.1%、糖尿病群で46.2%だった。正常血糖群と前糖尿病群の多数は、血糖値が正常域におさまった時間の範囲が類似しており、血糖値の平均を示すHbA1cを測定するだけでは、前糖尿病の有無を区別するのには不十分である可能性が示された。

 「前糖尿病群では、血糖値が140mg/dLを超えた時間が1日に5時間以上に及んだ人もみられ、糖尿病群では、1日の半分以上をそのレベルを超えて過ごしている患者もみられた」と、Spartano氏は指摘している。

 「今回の研究は、持続血糖モニターの使用が、2型糖尿病と診断されていない人の生理的な血糖変動に対する理解を深めることにも貢献する可能性があることを示すものだ。このことは患者と臨床医の双方に役立つ情報になると考えられる」。

 「持続血糖モニターの使用は、糖尿病未治療例の血糖値を広範囲に観察し、将来に糖尿病を発症する可能性のある人を予測し、糖尿病あるいは糖尿病予備群の管理目標を知るためにも役立つ可能性がある」としている。

Researchers present ranges of normal glucose levels among non-diabetic adults wearing continuous glucose monitors (ボストン大学医学部 2024年9月17日)
Defining continuous glucose monitor time in range in a large community-based cohort without diabetes (Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism 2024年9月11日)

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

SGLT2阻害薬を高齢者でどう使うか 週1回注射のインスリン製剤がもたらす変革 高齢1型糖尿病の治療 糖尿病治療と認知症予防
糖尿病スティグマとアドボカシー活動 糖尿病性腎症患者に対する療養支援 持続可能な糖尿病運動療法 苦労しています、服薬指導-短時間で患者の心を掴み、リスク回避! 進化する1型糖尿病診療 多職種連携による肥満治療
糖尿病と歯周病の最新エビデンス 甲状腺結節の日常臨床での取り扱い 肥満の外科治療-減量・代謝改善手術の最新エビデンス- 骨粗鬆症 脂質異常症 コレステロール低下薬 がんと糖尿病
インスリンの種類と使い方 糖尿病関連デジタルデバイスのエビデンスと使い方 糖尿病薬を処方する時に最低限注意するポイント[経口薬] インスリンポンプ・持続血糖測定器 血糖推移をみる際のポイント
糖代謝の調節機構 脂質の代謝 リン酸化によるシグナル伝達 タンパク質とアミノ酸の代謝

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料