【新型コロナ】ワクチン接種後の有害事象は「朝食・睡眠・健康的な体重」により減少 岐阜大学
ワクチン接種後の有害事象が気になり接種をためらう人は多い
新型コロナワクチンには、新型コロナウイルス感染にともなう入院や死亡など、重篤な合併症を予防する効果があるが、とくに若年成人ではワクチン接種にともなう有害事象の発生率が高く、それに対する懸念から接種を躊躇する人が少なくないとみられている。
そこで岐阜大学の研究グループは、同大学の学生を対象に、新型コロナワクチンの接種を受けた後の有害事象の発生率とそれを予防する要因を明らかにするため、健康診断で取得した生活習慣に関する情報と照らし合わせる調査を行った。
調査の対象となったのは、初回接種を受けた人(1,626人)で、2回目接種(1,215人)、3回目接種(456人)で、合計イベント数は1,858。
対象となった学生でも、ワクチン接種後の有害事象の頻度は高かったものの、生命を脅かすような重篤なものや、入院を要するものはなかった。
生活習慣が健康的な人はワクチン接種後の有害事象が少ない
ワクチン接種後の症状に関連する生活習慣を調べたところ、「朝食をとる頻度が高い」という人ほど、ワクチン接種当日の全身的な症状の発生率が低いことが示された。
朝食を週に2回以上とっている人は、ワクチンを接種した部位のかゆみなどが起こりにくく、朝食の摂取頻度が増えるほど、腹痛・下痢などの全身的な症状の発生率が低くなった。
また、睡眠時間が長い人ほど、ワクチン接種部位の熱感が減り、腹痛・下痢の発生率が低くなることが分かった。
さらに、体格指数(BMI)が高い人ほど、ワクチンを接種した部位の発赤や頭痛、発熱などの全身的な症状の発生率が低いことが分かった。
逆に、「ワクチン接種回数が多い」「女性である」「BMIが低い」ことは、有害事象の発生率の高さと関連していた。
なお、ワクチン接種当日あるいは翌日のワクチンを接種した部位の症状は89.7%に、全身的な症状は64.3%に認められた。
健康的な生活習慣を維持してワクチンの有害事象への懸念を払拭
研究は、岐阜大学大学院医学系研究科感染症寄附講座の手塚宜行特任教授、岐阜大学保健管理センターの山本眞由美教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Vaccine: X」に掲載された。
「健康的な食事、睡眠習慣、健康的な体重の維持が、若年成人での新型コロナワクチン接種後の有害事象を減らすことが示されました」と、研究者は述べている。
「今後は、他のワクチンなどでも同様の研究を行うことで、健康的な生活習慣の維持がワクチンの有害事象への懸念を払拭することを科学的な根拠をもって示せるようになり、ワクチン接種を躊躇する人に対してより不安の少ない予防接種を提供できるようになると期待されます」としている。
岐阜大学大学院医学系研究科感染症寄附講座
Adverse events of COVID-19 vaccination during 2021-2022 suppressed by breakfast consumption and favorable sleeping habit among Japanese university students (Vaccine: X 2024年8月)