2型糖尿病では収縮期血圧120mmHg未満の管理が有用 脳卒中リスクが21%減少 中国調査

2024.12.11
2型糖尿病ではSBP120mmHg未満の管理が有用――AHA

 2型糖尿病患者では、収縮期血圧(SBP)をより積極的に管理した方が、主要心血管イベントのリスクが低下することを示すデータが報告された。

 上海市内分泌代謝研究所(中国)のYufang Bi氏らの研究の結果であり、米国心臓協会科学セッション(AHA Scientific Sessions 2024、11月16~18日、シカゴ)で発表されるとともに、詳細が「The New England Journal of Medicine」に11月16日掲載された。

 2型糖尿病患者の降圧目標に関しては、2010年に「ACCORD BP」において、SBPを120mmHg未満と140mmHg未満に管理した2群間で、約5年間の心血管アウトカムの発生率に統計学的有意差は認められないという結果が報告された。

 その後、2015年に報告された「SPRINT」では、SBPを120mmHg未満に管理することの有用性が示されたが、SPRINTでは糖尿病患者が対象から除外されていた。このため、2型糖尿病患者のSBPの至適管理目標はいまだ明確にされていない。

 これを背景としてBi氏らは、中国全土の医療機関145施設で、2型糖尿病およびSBP高値を認め、心血管疾患リスクのある50歳以上の患者を対象とするランダム化比較試験を実施した。

 対象を2群に分け、1群はSBP120mmHg未満を目標とする強化療法群、他の1群は同140mmHg未満を目標とする標準療法群とし、最長5年間追跡した。主要評価項目は、非致死性脳卒中、非致死性心筋梗塞、心不全の治療または入院、および心血管疾患死で構成される複合エンドポイントとした。欠落データについては、多重代入法にて補完した。

 2019年2月~2021年12月に1万2,821人(平均年齢63.8±7.5歳、女性45.3%、強化療法群6,414人、標準療法群6,407人)を登録。ベースラインのSBPは両群ともに約140mmHgだったが、追跡開始1年時点で強化療法群は、平均121.6mmHg(中央値118.3)、標準療法群は同133.2mmHg(135.0)に到達していた。

 中央値4.2年の追跡期間中のイベント発生件数は、強化療法群が393件(100人年当たり1.65)、標準療法群が492件(同2.09)であり、前者において有意にリスクが低下していた[ハザード比(HR)0.79、95%信頼区間 0.69~0.90、P<0.001]。

 この群間差は主として強化療法群における脳卒中の減少によるものだった[100人年あたり 1.19 対 1.50、HR 0.79、同 0.67~0.92]。

 全体的な有害事象の発生率は両群ともに約36%で同等だった。ただし個別に比較すると、症候性低血圧[0.1% 対 0.1%未満、P=0.05]、および高カリウム血症[2.8% 対 2.0%、P=0.003]は、強化療法群の発生率の方が高かった。

 このほかに著者らは、「強化療法群で認められたメリットは、事前に設定されていた全てのサブグループで一貫して観察された」と記している。

[HealthDay News 2024年11月20日]

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