日本初の使用済みプレフィルド型ペン型注入器のリサイクルプロジェクト「ReMed(リメッド) 使用済み医療機器に、新たな使命を。」を拡大 ノボ
使用済みのプレフィルド型ペン型注入器を収集しプラスチック部分をリサイクルする取り組み
ノボ ノルディスク ファーマは、3月より一部地域で取り組んでいる、「ReMed使用済み医療機器に、新たな使命を。」の試験運用を8月から拡大した。
「ReMed」は、同社の使用済みのプレフィルド型ペン型注入器を収集し、プラスチック部分をリサイクルする取り組み。プレフィルド型ペン型注入器のリサイクルを目的に収集する取り組みは日本ではじめて。
3月より東京都と神奈川県の一部地域で1年間試験的な運用を開始し、7月より新潟県にも拡大。今回の運用拡大では、対象地域・収集場所は埼玉県の一部地域での指定薬局計14店舗で、実施期間は8月から来年3月末までを予定している。同プログラム運用フローの準備にかかる部分を、アルフレッサ ホールディングスのグループ会社であるアルフレッサに、収集にかかる部分を、同グループ会社のアポクリートが運営する薬局がサポートする。
プレフィルド型ペン型注入器は、糖尿病治療などで使用される、あらかじめ薬液が充填されている使い捨ての注射器。患者は、在宅で自己注射を行うことができるが、約77%がプラスチックで作られており、国内では市区町村の収集や医療機関などへの持参を通じて、焼却・埋立処分されている。
ノボ ノルディスク ファーマは、こうした現状を変革し、プラスチック廃棄物(フットプリント)の削減に取り組み、持続可能な資源循環を目指すべく、国内で「ReMed」に取り組んでいる。
「ReMed」に参加したい患者は、まず指定の薬局(同プログラムへの参加を表明している店舗)で専用の収集ケース(リターンバッグ)を受け取る。リターンバッグに注射針を外した使用済みのプレフィルド型ペン型注入器を入れて、指定の薬局へ持ち込む。収集されたリターンバッグは国内の施設へ運ばれ、有用な製品・材料にリサイクルされ、新たな用途が与えられる。具体的な製品・材料は、プログラムの実施を通じて決定していくとしている。
ノボ ノルディスクは、全世界的に環境戦略「Circular for Zero-循環型ビジネスで環境負荷ゼロを実現する-」を掲げ、リサイクルや再利用可能な製品設計、ビジネスの手順を見直すことによる消費の最小化と廃棄物の削減を目指し、サプライヤーとの協働に取り組んでいる。この環境戦略には、「循環型供給」「循環型企業」「循環型製品」の3つの柱があり、「循環型製品」は製品のデザイン、生産、そして患者が使い終わった後の環境への影響を最小限に抑えることを目指しており、「ReMed」プログラムはここに位置付けられているとしている。
「持続可能で健全な環境づくりのために変革を推進しています。私たちの目標は、事業活動による環境への影響をゼロにすることであり、『ReMed』プログラムはこの目標を達成するための重要な取り組みのひとつとなります。3月から開始した同プログラムの試験運用においては、すでに多くの有益なフィードバックをいただいております」と、ノボ ノルディスク ファーマでは述べている。
「『ReMed』プログラムは、プラスチック廃棄物の削減により環境負荷を低減する取り組みであり、医薬品を提供するサプライヤーとして同プロジェクトへ参画することで、持続可能な社会へ貢献してまいります」と、アルフレッサ ホールディングスでは述べている。
「ReMed」試験運用:拡大概要 | |
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実施期間 | 2024年8月5日~2025年3月末日(予定) |
対象地域 /収集場所 | 埼玉県の一部地域における指定薬局計14店舗 |
「ReMed」試験運用:運用フロー | |
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リサイクル対象製品 | |
試験運用段階では、ノボ ノルディスク ファーマの製品で、糖尿病治療用医薬品(インスリン製剤・GLP-1受容体作動薬)のプレフィルド型ペン型注入器のみが対象となる。 ※同社で取り扱う希少血液疾患、希少内分泌疾患治療用のプレフィルド型ペン型注入器、肥満症治療用などの針付ペン型注入器(注入時以外針先が出ない注入器。例:単回投与デバイス)、カートリッジ交換式ペン型注入器は、収集対象にならない。 ※他社のプレフィルド型ペン型注入器は収集対象にならない。 |
なお、ノボ ノルディスクは海外では、2020年に本社のあるデンマークで「ReMed」(試験運用時の名称:TakeBack)の試験運用を開始した。2021年には、英国、ブラジル、2022年にはフランスでも試験運用を開始し、同年デンマークと英国では収集場所を全国規模に拡大した。2023年にデンマークでは、製薬業界の他社と協力して、自社製品に限らずすべての参画企業の使用済みプレフィルド型ペン型注入器を収集する取り組みを開始した。2024年にはイタリアでも試験運用が開始した。
2020年以降、ノボ ノルディスクは「ReMed」プログラムを通じて、200万本以上の「フレックスペン」および「フレックスタッチ」を収集し、今後もより多くの国で「ReMed」プログラムを開始する予定としている。
デンマークでは、使用済みプレフィルド型ペン型注入器のプラスチックを再利用し、オフィスチェアを作っているという。