肥満者は35歳から糖尿病スクリーニングを――米国予防医学専門委員会

2021.04.01
 米国予防医学専門委員会(USPSTF)は3月16日、過体重または肥満者に対し行っている前糖尿病および糖尿病のスクリーニングの対象年齢を、35~70歳とする勧告案を発表した。スクリーニング開始年齢が2015年勧告の40歳から引き下げられ、より若い人が対象に含まれることになる。

 米ノースカロライナ大学チャペルヒル校のDaniel E. Jonas氏らは、2型糖尿病および前糖尿病状態スクリーニングでの適切な血糖判定値を探索するため、89件の報告を対象とするシステマティックレビューを実施。そのうち糖尿病の診断確定後に介入を行った研究報告では、5~10年の追跡期間中の死亡率、およびその他のアウトカムに有意な改善が認められないと結論していた。

 一方、糖代謝異常をより早い段階で検出し早期介入を行った研究からは、その後10~20年にわたってアウトカムが改善するというエビデンスが得られた。その介入効果は、主として過体重または肥満で前糖尿病状態にある人の糖尿病発症率低下、および血圧やBMIの低下として認められた。

 これらの知見に基づきUSPSTFは、前糖尿病と2型糖尿病のスクリーニング、および、前糖尿病状態の人へ血糖以外の心血管疾患リスク因子の管理も含めた効果的な予防介入を、より若年から実施することにメリットが存在すると判断。結論として、過体重または肥満の糖尿病未発症者に対して、プライマリケアによる糖代謝異常のスクリーニング対象を、35~70歳の成人に適用すべきとし、その勧告案を発表した。USPSTFはこの勧告案を、グレードB(中程度の効果があるという確実性のある推奨)としている。

 USPSTFのメンバーの一人で、米マサチューセッツ総合病院のMichael Barry氏は、USPSTF発行のニュースリリースの中で、「スクリーニングにより糖代謝異常を早期発見することは、前糖尿病が糖尿病へと進行して、他の健康問題につながるのを防ぐのに役立つ」と述べている。

 USPSTFは現在、この勧告案に対するパブリックコメントを受付中で、期限は4月12日までとなっている。

[HealthDay News 2021年3月16日]

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