【新型コロナ】新型コロナワクチンの副反応 発熱・頭痛・倦怠感は接種2回目に大幅上昇 年代・性別で差があり高齢者では低い 厚労省中間報告
発熱、頭痛、倦怠感などの全身反応は、1回目接種よりも、2回目の接種で頻度が大幅に高い傾向が示された。また、65歳以上の高齢者では副反応の発生率が大幅に低いことも分かった。
2月25日までに接種を受けた2万例弱のデータをまとめたもの。2万人調査すると副反応疑いが95%の可能性で捕捉できる。
先行接種を受けた医療従事者2万人を対象に接種後の副反応を調査
新型コロナワクチン「コミナティ筋注」の主な副反応は、頭痛、関節や筋肉の痛み、注射した部分の痛み、疲労、寒気、発熱など。また、まれに起こる重大な副反応として、ショックやアナフィラキシーがある。
2021年2月14日に特例承認となった「コミナティ筋注」の接種は、2月17日から先行対象者に開始された。2月25日に被接種者登録が終了し、1万9,808例が1回目接種を受け、コホート調査に登録された。
被接種者は、20~50代が21~25%、60歳以上が8.7%、男性33.8%、女性66.2%、医師16.7%、看護師46.6%だった。2回目接種は1万9,465例が受けた。
発熱、頭痛、倦怠感などの全身反応は、1回目接種よりも、2回目の接種で頻度が高い傾向がみられた。
2回目接種後の発熱(38.1%)、頭痛(53.6%)、全身倦怠感(69.3%)が認められた。
なお、1回目接種後は、発熱(3.3%)、頭痛(21.2%)、全身倦怠感(23.2%)だった。
接種後8日目以降に回収した1回目接種1万9,157例(全体の96.7%)および2回目接種15,985例(80.7%)の健康観察日誌から、1回目接種後の発熱(37.5°C以上)は3.3%だったが、2回目は38.1%と高率であることが分かった。発熱する場合は翌日が多く、接種3日目には解熱した。
2009年のH1N1pdmインフルエンザワクチンNHOの2万人調査と比較すると、「コミナティ筋注」は接種部位の疼痛の頻度が明らかに高い。
接種部位の疼痛は90%を超える被接種者が自覚し(1回目接種後92.3%、2回目接種後91.1%)、接種翌日がもっとも頻度が高かった。接種3日後には軽快した。
男女差が目立っており、女性の方が男性よりも副反応が強かった。とくに頭痛は、女性の2回目接種で62%みられたのに対し、男性は37%と差がある。37.5度以上の発熱は女性42%、男性30%だった。全身倦怠感も女性の方が多い。
なお、研究班では2回目接種の翌日の勤務は控えるように勧告をしていたが、それでも病休者は全体の6%にとどまった。
65歳以上の高齢者では副反応が大幅に低い
厚生労働省によると、米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチン接種後の副反応は、年齢および性別によって発現頻度は異なり、若年者・女性で高い。抵抗力のある若い世代ほど副反応が強い傾向がみられる。
一方で、65歳以上の高齢者では、発熱9%、全身倦怠感38%、頭痛20%で、発生率が大幅に低い。37.5度以上の発熱は、全体では38%に起きたが、高齢者は4分の1にとどまった。20歳代では30%、30歳代では25%だった。
一方で、接種部位疼痛は高齢者でも80%に上り、疼痛に関しては年代間の差は目立たなかった。
アナフィラキシーは350件 100万回当たり72件
アナフィラキシー症状は4月4日までに接種した約109万7,000回のうち350件が報告され、国際的な基準では79件が該当した。100万回当たり72件の頻度だった。
ほぼ全員が軽快・回復しているという。日本アレルギー学会から、全体として重症度が低く、おおむね適切な対応がなされていたのではないかとの検討結果が報告された。
アナフィラキシーを判断するために、2つ以上の症状が突然あらわれ、急速に進行することが必須条件となる。さらに皮膚や循環器、消化器別に起きた症状をチェックし、症状の組み合わせでレベル1~5に分類し、1~3に該当すれば判断する。
2回目接種後の接種30分以内の副反応疑いとして、1回目、2回目接種合わせて、顔面神経麻痺を含む末梢神経障害など22例がPMDAに報告された。
なお、国内の新型コロナワクチンの接種実績は、2021年4月9日時点で、接種回数の合計が159万2,517回(1回目が110万1,698回、2回目が49万819回)となっている。
新型コロナウイルスワクチン接種にともなう重度の過敏症(アナフィラキシー等)の管理・診断・治療(日本アレルギー学会)