【新型コロナ】国産COVID-19ワクチンの第1/2相試験を新たに2社が開始 第一三共とKMバイオロジクス アンジェスは第2/3相試験での接種を完了
第一三共が東京大学医科学研究所と連携して開発しているのはmRNAワクチン、KMバイオロジクスが東京大学医科学研究所、国立感染症研究所、医薬基盤・健康・栄養研究所と共同で開発を進めているのは不活化ワクチンだ。
また、アンジェスは、大阪大学などと共同で開発を進めているDNAワクチンについて、第2/3相臨床試験での接種を完了したと発表した。
第一三共がmRNAワクチンの第1/2相試験を開始
第一三共は3月22日に、東京大学医科学研究所と連携して開発を進めている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチン「DS-5670」の国内第1/2相臨床試験を開始したと発表した。
「DS-5670」は新規核酸送達技術を用いたmRNAワクチン。国内の健康成人および健康高齢者152名を対象とした第1/2相臨床試験により、安全性と免疫原性を評価し、推奨用量を検討する。安全性の評価項目は有害事象や副反応で、ワクチン接種により誘導される免疫原性の評価項目は、ウイルスの感染能を阻害する抗体の量を示す中和抗体価や、抗体の1つであるIgGの抗原に対する免疫応答の指標であるIgG価など。
同社は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が実施する「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発(2次公募)」(企業主導型)の支援を受け、東京大学医科学研究所と連携して研究開発を推進しており、非臨床試験では安全性と有効性を示唆する結果を得ている。
KMバイオロジクスは不活化ワクチンの第1/2相試験を開始
KMバイオロジクスも3月22日に、COVID-19に対する不活化ワクチン「KD-414」の国内第1/2相臨床試験を開始したと発表した。
「KD-414」は、東京大学医科学研究所、国立感染症研究所、医薬基盤・健康・栄養研究所と共同で開発を進めている不活化ワクチン。大量に培養されたウイルスや細菌からウイルス粒子や細菌の菌体を集めて精製した後、感染力や毒力をなくした病原体やその成分で作ったワクチン。日本では、インフルエンザワクチンや日本脳炎ワクチンなどが不活化ワクチンで、長年の使用実績がある従来型のワクチンとなる。
試験は、20歳以上65歳未満の健康成人および65歳以上の健康な高齢者を対象に、「KD-414」を2回接種した際の安全性および免疫原性を検討する。目標症例数は210例。年内の第3相臨床試験の実施を目指している。
アンジェスはDNAワクチンの第2/3相試験での接種を完了
アンジェスは3月10日、大阪大学などと共同で開発を進めているCOVID-19に対するDNAワクチンについて、第2/3相臨床試験での接種を完了したと発表した。
DNAワクチンの用法および用量での安全性と免疫原性の評価を目的に、関西および関東の8施設で500症例の接種を行った。今後、数ヵ月間の経過観察期間を経て、安全性と免疫原性の評価を行う。
DNAワクチンは、対象とするSARS-CoV-2ウイルスのタンパク質の一部をコードする環状DNA(プラスミド)を接種することで、そのタンパク質(抗原)を体内で生産し、病原体に対する抗体を介した免疫を付与する。ウイルスの構造の一部としての抗原を認識する抗体を体内で作り出すことにより、ウイルスに対する抵抗力が生まれ、その効果を発揮する。
塩野義製薬、国立感染症研究所、UMNファーマ |
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組換えタンパクワクチン |
2020年12月から第1/2相試験を実施。 |
第一三共、東京大学医科学研究所 |
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mRNAワクチン |
2021年3月から第1/2相試験を開始。 |
アンジェス、大阪大学、タカラバイオ |
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DNAワクチン |
第1/2相試験を開始、第2/3相試験を開始、大規模第3相試験を2021年内に開始。 |
KMバイオロジクス、東京大学医科学研究所、国立感染症研究所、医薬基盤・健康・栄養研究所 |
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不活化ワクチン |
2021年3月から第1/2相試験を開始。 |
IDファーマ、国立感染症研究所 |
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ウイルスベクターワクチン |
最短で2021年3月から臨床試験を開始。 |