「多職種協働型チーム医療におけるCDEJの役割と展望」 第63回日本糖尿病学会年次学術集会レポート(1)
2020.10.16
第63回日本糖尿病学会年次学術集会
シンポジウム23「多職種協働型チーム医療におけるCDEJの役割と展望」
シンポジスト:下野 大(二田哲博クリニック)、伊波早苗(社会医療法人誠光会草津総合病院看護部)、廣畑順子(公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院栄養治療部)、相澤政明(相模台病院薬剤部)、近藤裕子(東京都済生会中央病院臨床検査科)、小山昭人(市立札幌病院リハビリテーション科)
座長:寺内康夫(横浜市立大学大学院医学研究科分子内分泌・糖尿病内科学)、岡井明美(日本糖尿病療養指導士認定機構委員)
シンポジウム23「多職種協働型チーム医療におけるCDEJの役割と展望」
シンポジスト:下野 大(二田哲博クリニック)、伊波早苗(社会医療法人誠光会草津総合病院看護部)、廣畑順子(公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院栄養治療部)、相澤政明(相模台病院薬剤部)、近藤裕子(東京都済生会中央病院臨床検査科)、小山昭人(市立札幌病院リハビリテーション科)
座長:寺内康夫(横浜市立大学大学院医学研究科分子内分泌・糖尿病内科学)、岡井明美(日本糖尿病療養指導士認定機構委員)
CDEJが多岐に渡る幅広い患者指導をする
日本糖尿病療養指導士認定機構は、2020年2月に設立20周年を迎えた。2001年より認定が開始された日本糖尿病療養指導士(CDEJ)は、高度で良質な糖尿病診療を提供するためには不可欠な存在となり、院内だけでなく、地域医療においてもリーダーシップを発揮している。本シンポジウムでは、現場で働く医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士がチーム医療におけるCDEJの役割や現状の課題、その解決に向けた展望を講演した。 シンポジスト1人目の下野大氏は「外来診療における糖尿病療養指導士の役割」と題して、外来診療で糖尿病治療を行う糖尿病専門クリニックにおけるチーム医療の取り組みを紹介し、今後のCDEJのあり方を提言した。 下野氏は最後に、糖尿病療養指導において多職種連携は重要であるが、糖尿病療養指導を高めるためには、高度かつ幅広い専門知識を持つCDEJ一人ひとりが患者に伴走しながら多岐に渡る幅広い指導をしていくことが必要であると述べた。チーム医療には看護師がコミットしやすい環境が大切
シンポジスト2人目の伊波早苗氏は「患者中心のチーム医療とチームビルディング」と題して、看護師の立場からチーム医療に携わってきた経験を踏まえ、チームビルディングの実際と課題について解説した。 看護師はチームビルディングの要であるが、その役割をチームの中で明確にすることが難しいとされている。伊波氏は、看護師がしていることやできることを明確にしてチームにコミットしやすい環境を作ることが大切であると強調している。ボーダレスチーム医療が最適な診療を支援
シンポジスト3人目の廣畑順子氏は「ボーダレスチーム医療における管理栄養士の役割」と題して、管理栄養士の立場から、診療科や部門を横断して患者に最適な診療をするボーダレス医療チームの一つ糖尿病サポートチーム(Diabetes Inpatient Support Team:DIST)の活動と成果を紹介した。 廣畑氏は、DISTが介入することによって、血糖管理状態の改善、新たな糖尿病の治療介入につながっている。DISTの対象の診療科をさらに広げて病院全体での糖尿病治療に関わりたいと展望を語った。外来診療におけるチーム医療
シンポジスト4人目の相澤政明氏は「縦の糸はあなた 横の糸は薬剤師 織りなす布はチーム医療」と題して、外来診療におけるチーム医療の取り組み事例として、生活習慣病外来におけるリアルタイムチーム医療と外来糖尿病腎症患者に対するチーム医療を紹介した。 相澤氏は最後に、糖尿病チーム医療の効果が科学的、客観的に検証され、診療報酬の算定につながることを期待している。外来診療において多職種が縦糸と横糸になってリアルタイムにチーム医療を実践する施設が増えることを願っていると述べた。臨床検査の専門家として療養指導に有用な情報を提供
シンポジスト5人目の近藤裕子氏は「多職種協働型チーム医療におけるCDEJの役割~臨床検査技師の専門性を生かす~」と題して、臨床検査技師がかかわる糖尿病療養指導への取り組みを紹介した。 近藤氏は、多職種協働型チーム医療における臨床検査技師の役割として、患者指導に加えて、臨床検査の専門家として療養指導に有用な情報を提供することを挙げ、これらが質の高い診断や治療につながると述べた。CDEJを持つ理学療法士の役割
シンポジスト6人目の小山昭人氏は「CDEJ_PTの求められている役割と今後のあるべき姿」と題して、北海道内でCDEJを有している理学療法士39名を対象に行った、CDEJとしての活動や状況等に関するアンケート調査の結果を報告した。 小山氏は最後に、理学療法士は糖尿病の運動療法にかかわるだけでなく、治療の全体を俯瞰(ふかん)しながら何をすべきか考え、患者に寄り添ったプログラムを提案する姿勢で糖尿病医療チームの一翼としてかかわることが求められているとまとめた。 一般社団法人 日本糖尿病学会 第63回日本糖尿病学会年次学術集会[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]