米国防総省「脂質異常症ガイドライン」改訂版を公開
2020.10.15
米退役軍人省・国防総省「脂質異常症ガイドライン」改訂版の概要
米国退役軍人省と国防総省の脂質異常症ガイドラインが改訂され、「Annals of Internal Medicine」9月22日オンライン版に、その概要が掲載された。10年以内の心血管イベントリスクが12%以上と予測される患者に対し、中用量のスタチン治療を推奨するなどの内容。
米ユニフォームド・サービス大学のPatrick G. O'Malley氏らは、脂質管理に関する12項目のキークエスチョンを作成。2013年12月~2019年5月に公開された英語論文を、MEDLINE、EMBASE、PubMed、Cochrane Libraryを用いて検索し、得られたエビデンスを基にガイドラインの草案をまとめた。その後、20人以上の査読者による評価などを経て、改訂版ガイドラインが公開された。
ガイドラインの推奨事項は27項目からなり、スタチン投与量の目安、リスク予測の評価指標、一次および二次予防戦略、臨床検査、身体活動および栄養介入などについて、エビデンスに基づくステートメントを掲げている。
例えば、40歳以上でスタチンを投与されておらず、心血管疾患(CVD)リスク因子を有していない対象者の一次予防に、5年間隔よりも短い頻度でリスク評価を行うことは非推奨としている。また、一次予防におけるCVDリスク評価には、10年間のイベントリスクスコアを用いること、そのリスクが12%以上の場合やLDL-コレステロールが190mg/dL以上の場合、または糖尿病患者の一次予防には、中用量のスタチン治療を推奨。二次予防には、少なくとも中用量のスタチン治療を推奨している。
このほか、ガイドラインの概要を解説している本論文では、特に重要な項目として、7項目にスポットを当てて詳述している。例えば、治療介入に際してはLDL-コレステロールの値を目標に管理するのではなく、エビデンスに基づきスタチンの用量の判断を優先すべきと指摘。また、リスク評価のために提案されている新規の検査項目は、いまだエビデンスが少ないとしている。さらに、検査前の絶食は不要であるとし、定期的なモニタリングの必要性に関しても否定的な記載をしている。
著者らは、「われわれはCVDリスクを抑制するために脂質レベルを管理する上で、実用的であり、かつ患者中心のアプローチを提示することができた」と述べている。
[HealthDay News 2020年9月24日]
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