日本糖尿病協会が「糖尿病連携手帳」第4版を発行
2020.05.14
日本糖尿病協会は、糖尿病患者用の診療記録ノートである「糖尿病連携手帳」の内容を大幅に見直し、第4版として4月より全国での配布を開始した。全国の医療機関を通じて患者に無料で提供されており、発行部数の累計は約2,000万部。
糖尿病診療の強力なサポートツール
糖尿病の診療では、基幹病院の専門医とかかりつけ医、地域の保健師、薬剤師や介護支援者などが役割分担する地域連携が重要であり、治療にあたっては、さまざまな診療科の医師と療養指導スタッフがチームを組んで治療にあたるチーム医療が基本となる。 「糖尿病連携手帳」はこうした職種間の連携促進ツールとして2010年に誕生した。2016年からは、厚生労働省主導の「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」で、特定保健指導を担当する市町村の保健師と糖尿病診療を行う医師との情報共有ツールとしても活用されている。 第4版の改訂の主な内容は次の通り――。 ・ 必要な情報が一目でわかることを重視し、今日の治療に即して記載項目が見直された。治療目標のみに固執せず、"糖尿病とともに生きる豊かな毎日"の実現をサポートするツールとして規定。 ・ 患者の個人情報と病態、かかりつけ医などの関係者の情報をひとまとめにし、今回の改訂では「かかりつけ薬剤師」「産業医」「市区町村の保健師・管理栄養士」の記入欄が追加された。 ・ 検査項目を新たに肝臓・脂質・腎臓に分け、患者にとって分かりやすくなった。見開き2ページで検査結果4回分が一覧でき、長期の経過が一目瞭然。 ・ 眼科・歯科受診記録が2ページ分追加された。日本糖尿病眼学会、日本歯科医師会のアドバイスにもとづき、各科の医師が記載しやすいよう項目が修正された。 ・ 糖尿病治療では合併症予防のための検査が欠かせない。網膜症・腎症・神経障害のほかにも、病態や年齢などにより、さまざまな検査が発生するので、第4版では各検査項目の記載方法が簡素化され書きやすくなったほか、高齢患者の増加に備えて骨格指数や握力の項目が新設された。 ・ 適切な検査を適切な時期に実施するため、2年間の検査計画を書き込めるページを新設。年間の検査スケジュールの確認に使える。 公益社団法人 日本糖尿病協会[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]