腕時計サイズの小型のウェアラブル血圧計を発売 手首で血圧測定 医療機器認証を取得
2019.12.19
オムロン ヘルスケアは、腕時計サイズの小型で手首での血圧測定を実現したウェアラブル血圧計「HeartGuide」を発売した。
日中の行動下でも血圧を簡単に測定できる
高血圧が起因する「心疾患」(心筋梗塞や心不全など)は日本人の死因の第2位で、「脳血管疾患」(脳梗塞や脳出血など)は第3位だ。 日本高血圧学会は2019年に「高血圧治療ガイドライン」を5年ぶりに改訂した。75歳未満の成人の高血圧(家庭血圧)の基準値は従来どおり135/85mmHgだが、新たに家庭血圧の降圧目標が125/75mmHgと定められ、家庭におけるより細かい血圧管理が求められるようになった。 また、日中の大きな血圧変動は、心筋梗塞や脳卒中などの脳・心血管疾患の発症リスクを高める因子になる。しかし、これまでの家庭血圧計では測定の場所が限定されるため、日中の血圧変動を捉えることができなかった。 オムロン ヘルスケアが発売した「HeartGuide」は、同社が独自に開発した幅の狭い新構造のカフなどにより、常時手首に装着可能な腕時計サイズを実現したウェアラブル血圧計。医療機器としての薬事認証を取得している。これにより、日中の行動下など、気になった時の血圧をいつでも簡単に医療精度で測ることができるとしている。 測定方式として、病院の自動血圧計や家庭用血圧計に従来から使用されているオシロメトリック法を採用している。 血圧を測定する際、上腕にカフを巻き、そこに空気を送り込んで血管を圧迫し、いったん血液の流れを止める。その後徐々に、圧迫をゆるめていくと、血液の圧力が血管を圧迫しているカフの圧力を上回る。オシロメトリック法では、カフを加圧した後、減圧していく段階で、心臓の拍動に同調した血管壁の振動を反映したカフ圧の変動をチェックすることで血圧値を決定する。 血圧測定では、動脈をカフでしっかりと圧迫することが必要だが、従来のカフ構造では、カフ幅が狭くなると動脈を十分に圧迫することができないため、小型化を実現する上で、大きな技術的課題となっていた。 そこで同社は、カフ構造を見直し、従来は1つのカフで実現していた機能を、複数のカフを配置しそれぞれのカフの機能を最適化することで、従来の約50%というカフ幅で、十分な動脈の圧迫を可能にした。 さらに、圧力センサや空気を制御するための弁など、血圧測定に必要となる主要部品も独自に開発し小型化。本体容積を従来機から約65%小型化し、約35%までコンパクトにした。 独自技術により腕時計サイズを実現した「HeartGuide」では、薬事認証を取得した(医療機器認証番号:301AGBZX00046000)。 「HeartGuide」は、血圧に加え、歩数や歩行距離などの活動データ、睡眠時間などの睡眠データも測定できる。血圧値と合わせて、専用のアプリ「HeartAdvisor」で管理することが可能だ。これにより、運動や睡眠といった生活習慣と血圧変動の関係など、自分の血圧の特徴を知ることができ、生活習慣改善などに役立てるられる。 ウェアラブル血圧計「HCR-6900T」シリーズの販売価格は7万9,800円(税抜き)、質量は約115g。[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]