乳酸菌がショ糖摂取後の血糖値の上昇を抑制 ヒト臨床試験で活性を確認

2019.05.22
 帝京大学医真菌研究センターの研究グループは、ショ糖摂取後の血糖値の上昇を抑制する乳酸菌を発見し、ヒト臨床試験でショ糖摂取後の血糖値の上昇を抑制する活性があることを確認した。

ヒト腸管のグルコース取り込みを阻害する乳酸菌としてはじめて

 食品中に添加される主要な甘味料のひとつであるショ糖は、腸管内でα-グリコシダーゼによりグルコースとフルクトースに分解され、それらが腸管から吸収され、血糖値の上昇を導く。

 α-グリコシダーゼの阻害効果やグルコースの腸管吸収阻害効果を有する物質を含む食品は、ショ糖の過剰な摂食による食後血糖の上昇を抑制すると考えられる。

 そこで、帝京大学医真菌研究センターの関水和久教授らの研究グループは、カイコを用いたショ糖摂取後の血糖値の上昇を抑制する物質の評価系を用いて、ゲノム創薬研究所と共同で、機能性乳酸菌の探索を行った。

 その結果、ショ糖摂取後の血糖値の上昇を抑制する活性の高い乳酸菌として腸球菌「YM0831」株を発見した。

 腸球菌「YM0831」株は、グルコースの摂食後のカイコの体液中のグルコース濃度の上昇に対しても抑制効果を示した。

 さらに、ヒトの腸管由来の培養細胞であるCaco-2細胞のグルコース取り込みを阻害することも確認。ヒトの腸管細胞のグルコース取り込みを阻害する乳酸菌の発見ははじめてだ。

 研究グループはファルマシュプールと共同で、ヒト臨床試験でも、「YM0831」株にショ糖摂取後の血糖値の上昇を抑制する活性があることも確認。

 さらに、腸球菌「YM0831」株を用いて製造されたヨーグルトもヒト臨床試験でショ糖摂取後の血糖値の上昇を抑制する活性があり、食品開発に有用であることを明らかにした。

 摂取後に血糖値を上昇させるショ糖の過剰摂取による血糖値の上昇を抑制する食品を開発することは、2型糖尿病に対策するために重要だ。

 現在、帝京大学とゲノム創薬研究所とが共同で、経済産業省戦略的基盤技術高度化・連携支援事業の助成を受けながら、実用化を目指した研究開発試験を実施しているという。

 研究成果は、「Communications Biology」に掲載された。

帝京大学医真菌研究センター
Enterococcus faecalis YM0831 suppresses sucrose-induced hyperglycemia in a silkworm model and in humans(Communications Biology 2019年5月2日)

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

脂質異常症の食事療法のエビデンスと指導 高TG血症に対する治療介入を実践 見逃してはいけない家族性高コレステロール血症
SGLT2阻害薬を高齢者でどう使う 週1回インスリン製剤がもたらす変革 高齢1型糖尿病の治療 糖尿病治療と認知症予防 高齢者糖尿病のオンライン診療 高齢者糖尿病の支援サービス
GLP-1受容体作動薬の種類と使い分け インスリンの種類と使い方 糖尿病の経口薬で最低限注意するポイント 血糖推移をみる際のポイント~薬剤選択にどう生かすか~ 糖尿病関連デジタルデバイスの使い方 1型糖尿病の治療選択肢(インスリンポンプ・CGMなど) 二次性高血圧 低ナトリウム血症 妊娠中の甲状腺疾患 ステロイド薬の使い分け 下垂体機能検査
NAFLD/NASH 糖尿病と歯周病 肥満の外科治療-減量・代謝改善手術- 骨粗鬆症治療薬 脂質異常症の治療-コレステロール低下薬 がんと糖尿病 クッシング症候群 甲状腺結節 原発性アルドステロン症 FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症 褐色細胞腫

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料