ステロイドによる糖尿病発症メカニズムを解明 脂肪細胞のグルココルチコイド受容体が寄与
2019.03.08
大阪大学は、ステロイドによって生じる糖尿病などの代謝異常に脂肪細胞のグルココルチコイド受容体(GR)が寄与することを明らかにした。
グルココルチコイド受容体を除去したマウスにステロイドを投与したところ、脂肪肝やインスリン抵抗性が改善し、「健康的肥満」が誘導された。
グルココルチコイド受容体を除去したマウスにステロイドを投与したところ、脂肪肝やインスリン抵抗性が改善し、「健康的肥満」が誘導された。
ステロイドによって糖尿病が起こるメカニズムを解明
研究は、大阪大学大学院医学系研究科の下村伊一郎教授、大月道夫講師、奥野陽亮助教、林令子大学院生(内分泌・代謝内科学)らの研究グループによるもの。研究成果は「Endocrinology」に掲載された。 ステロイドはアレルギー性疾患などさまざまな疾患で治療薬として用いられる一方、脂肪肝やインスリン抵抗性を引き起こし、糖尿病を発症させるといった副作用がある。 ステロイドは全身に作用するため、どの臓器の影響でこのような副作用が生じるかは不明だった。そこで研究グループは、ステロイドの「脂肪細胞への作用」に注目して研究を行った。 ステロイドの受容体であるグルココルチコイド受容体に着目。脂肪細胞特異的に発現するアディポネクチン遺伝子の転写制御下にCre遺伝子を発現する「アディポネクチンプロモータCre」を用いて、脂肪細胞特異的にグルココルチコイド受容体を除去した遺伝子改変マウスを作成した。 このマウスにステロイドを投与したところ、脂肪組織が肥大する一方で、肝臓への脂肪蓄積が減少し、インスリン抵抗性が改善されたことから、「健康的肥満」が誘導されていることが明らかになった。Adipocyte GR inhibits healthy adipose expansion through multiple mechanisms in Cushing' ssyndrome(Endocrinology 2019年1月15日)
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]