糖尿病治療薬の薬剤料 2017年度は4,271億円に増加 SGLT-2阻害薬、GLP-1受容体作動薬の処方が増える

2019.02.15
 ⾎糖降下薬が処⽅された処⽅箋が増えており、全処⽅箋の6.9%を占めることが、厚生労働省の調査で明らかになった。2017年度の血糖降下薬の薬剤料は4,271億円で、増加を続けている。GLP-1受容体作動薬は6倍、SGLT-2阻害薬は10倍など、後発医薬品のない新薬の薬剤料が着実に増えている。
 調査は、厚生労働省が2013年4月~2018年3月調剤分のレセプトを分析し、血糖降下薬の薬剤料の推移、投薬日数の分布など集計したもの。

2017年度の血糖降下薬の薬剤料は4,271億円

 ⾎糖降下薬が処⽅された処⽅箋は、2017年度5,786万7,855枚で、全処⽅箋8億3,445万枚の6.9%となった。2013年度に比べ0.4ポイント増加した。全処⽅箋枚数が5.7%増加したのに対し、⾎糖降下薬が処⽅された処⽅箋は12.7%増と2桁の増加となっている。

 2017年度の血糖降下薬の薬剤料は4,271億円だった。内訳は、インスリン 624億円、スルホニル尿素薬 81億円、ビグアナイド薬 172億円、αグルコシダーゼ阻害薬 259億円、速効型インスリン分泌促進薬 103億円、チアゾリジン誘導体 77億円、GLP-1受容体作動薬 232億円、DPP-4阻害薬 1,873億円、SGLT-2阻害薬 493億円、配合剤 357億円となっている。

 血糖降下薬の薬剤料は、2013年度 3,363億円、2014年度 3,538億円、2015年度 3,890億円、2016年度 3,935億円、2017年度 4,271億円と、着実に増えている。

インスリンの薬剤料は横ばいに SU薬は減少

 インスリンの薬剤料は2017年度は624億円(うち先発医薬品が594億円、バイオシミラーは30億円)だった。インスリンの薬剤料は2015年度まで徐々に増加していたが、2016年度に減少に転じ、その後は横ばいとなっている。数量は2013年度に比べ2017年度は1.02倍となっている。
 スルホニル尿素薬の薬剤料は2017年度は81億円(うち後発医薬品が49億円)だった。2013年度以降は後発医薬品の薬剤料がおおむね一定となっており、全体としては減少傾向となっている。数量も減少しており、2013年度に比べ2017年度は0.74倍となっている。

GLP-1受容体作動薬は6倍 DPP-4阻害薬は横ばい SGLT-2阻害薬は10倍に

 GLP-1受容体作動薬の薬剤料は2017年度は232億円で、前年度から72億円増え、2013年度以降は増加傾向にある。数量も増加しており、2013年度に比べ2017年度は6.22倍となっている。年齢階級別にみると55歳以上60歳未満でもっとも多く処方されている。
 DPP-4阻害薬の薬剤料は2017年度は1,873億円で、前年度から1億円増えた。2015年度まで徐々に増加していたが、2016年度に減少に転じ、その後横ばいが続いている。数量は2015年度以降は横ばいが続いており、2013年度に比べ2017年度は1.32倍となっている。年齢階級別にみると65歳以上70歳未満でもっとも多く処方されている。
 SGLT-2阻害薬の薬剤料は2017年度は493億円で、前年度から181億円増えた。SGLT-2阻害薬の薬剤料は2013年度以降は増加傾向にある。数量は上昇傾向にあり、2013年度に比べ2017年度は9.56倍となっている。年齢階級別にみると40歳以上45歳未満でもっとも多く処方されている。
 糖尿病用配合剤の薬剤料は2017年度は357億円で、前年度から100億円増えた。数量は上昇傾向にあり、2013年度に比べ2017年度は4.33倍となっている。一方で薬価は低下傾向にあり、2013年度に比べ2017年度は0.72倍となっている。60歳以上65歳未満でもっとも多く処方されている。

後発医薬品の割合は平均73.0%

 血糖降下薬種類別にみた後発医薬品の割合(数量ベース)の平均は73.0%。種類別にみると、インスリン 49.9%、スルホニル尿素薬 73.9%、ビグアナイド薬 75.2%、αグルコシダーゼ阻害薬 74.1%、速効型インスリン分泌促進薬 42.6%、チアゾリジン誘導体 77.4%となっている。

 調剤(処方箋受付)ごとの血糖降下薬の薬剤種類数は、1種類が43.4%、2種類が31.9%、3種類が17.4%、4種類が5.8%となっている。1種類の処方は年齢層が高くなると増える傾向があり、50歳以上55歳未満では35.4%なのに対し、65歳以上70歳未満では40.5%、85歳以上90歳未満では54.7%となっている。

最近の調剤医療費(電算処理分)の動向(厚生労働省)

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