健保組合加入者の37.1%が肥満 25.7%が「血糖値に異常あり」
2019.02.01
健康保険組合連合会(健保連)は、2016年度の「業態別にみた被保険者の健康状態に関する調査分析」を公表した。調査は、2016年度の特定健診・特定保健指導データおよびレセプトデータをもとに、業態別に加入者の健康状態や服薬の状況、メンタル系疾患の有病者割合を概観したもの。
健保組合加入者の37%が肥満、建設業では44%超
健康保険組合連合会(健保連)は、2016年度の「業態別にみた被保険者の健康状態に関する調査分析」を公表した。特定健診データでは335万704人(416組合)、レセプトデータでは1,516万4,861人(1,260組合)をもとに集計を行っている。健康状態および服薬状況については、特定健診の問診回答ならびに健診検査値をもとに、40~74歳の加入者を対象とし、メンタル系疾患の有病者割合については全年齢の加入者を対象としている。 データを活用した「データヘルス計画」は、医療費データや健診情報などのデータ分析にもとづき、保健事業を効率的・効果的に実践するというもの。すべての健康保険組合は2015年度からの実施を求められており、健保組合の連合組織である健康保険組合連合会も積極的に取り組んでいる。 健康保険組合加入者のうち、「肥満」該当者の割合は37.15%(男性 48.34%、女性 19.23%)。高い割合を示しているのは、(1)建設業(44.72%)、(2)その他のサービス業(41.66%)、(3)印刷・同関連業(40.34%)となっている。一方で、低い割合を示しているのは、(1)労働者派遣業(23.40%)、(2)繊維製品製造業(25.78%)、(3)医療、福祉(28.54%)だった。 肥満の定義は、(1)「内臓脂肪面積が100平方cm以上」または「内臓脂肪面積が100平方cm未満でBMI25以上」、(2)内臓脂肪面積の検査値がないときは、男性では「腹囲85cm以上」または「腹囲85cm未満でBMI25以上」、女性では「腹囲90cm以上」または「腹囲90cm未満でBMI25以上」となっている。「受診勧奨判定値」の該当者の割合は「脂質」で31.08%
「受診勧奨判定値」の該当者の割合は、「血圧」では17.10%、「脂質」では31.08%は、「血糖値」では4.94%、「肝機能」では10.98%に上り、それぞれ医療機関の受診が必要な状態にあることが明らかになった。 「血糖値」の「保健指導判定値」(空腹時血糖 100mg/dL以上、HbA1c 5.6%以上)の該当者の割合は25.70%。高い割合を示しているのは、(1)複合サービス業(33.47%)、(2)飲食料品以外の小売業(29.48%)、(3)建設業(29.47%)となっている。一方で、低い割合を示しているのは、(1)労働者派遣業(14.95%)、(2)繊維製品製造業(20.24%)、(3)教育・学習支援業(22.33%)となっている。 「神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害」の入院外の有病者割合は1.53%。高い割合を示しているのは、(1)労働者派遣業(1.79%)、(2)情報通信業(1.78%)、(3)機械器具製造業(1.66%)。一方で、低い割合を示しているのは、(1)宿泊業、飲食サービス業(1.02%)、(2)生活関連サービス業、娯楽業(1.14%)、(3)複合サービス業(1.22%)となっている。 なお、▼「朝食を抜くことが週に3回以上ある」者の割合は20.13%で、(1)宿泊業、飲食サービス業(34.85%)、(2)教育・学習支援業(31.86%)、(3)不動産業、物品賃貸業(27.10%)で高い、▼「就寝前の2時間以内に夕食をとることが週に3回以上ある」者の割合は35.49%で、(1)教育・学習支援業(50.14%)、(2)宿泊業、飲食サービス業(48.88%)、(3)生活関連サービス業、娯楽業(44.99%)で高い――といった実態も明らかになっている。 日本では政府の成長戦略における「国民の健康寿命の延伸」への取り組みの1つとして健康経営が推進されている。健康経営とは、「従業員の健康保持・増進の取り組みが将来的に収益性などを高める」との考えのもと、健康管理を戦略的に実践すること。健康保険組合連合会のデータなどを活用した「従業員の健康づくり」に向けた取り組みが求められている。 健康保険組合連合会(健保連)調査分析報告書
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]