肥満を抑制する新たな遺伝子「Ly75」を同定 発現量が高くなると白色脂肪組織重量が減少

2018.12.13
 名古屋大学は、肥満抵抗性に関わる新たな遺伝子として「Ly75」を同定したと発表した。Ly75のmRNA発現量が高くなると、白色脂肪組織の重量が減少することを明らかにした。
 研究は、名古屋大学大学院生命農学研究科の石川明准教授らの研究グループによるもので、詳細は「Scientific Reports」に掲載された。

ゲノム医療への応用による肥満の克服に期待

 世界保健機関(WHO)によると、世界のおよそ3人に1人が過体重または肥満だ。肥満は、複数のQTL(量的形質遺伝子座:quantitative trait loci)と環境要因が複雑に絡み合って統御されている。

 これまでに、ヒトやモデル動物において、BMI、体重、白色脂肪組織重量や血中脂質濃度などの肥満に関わる形質を制御する多くのQTLが染色体上に位置づけられてきた。しかし、個々のQTLの表現型(遺伝子型が形質として現れたもの)に及ぼす効果は小さく、肥満の原因遺伝子を同定することは容易ではない。

 研究グループは、これまでに野生マウスの遺伝資源から、白色脂肪組織重量を減少させるQTLを発見。さらに、全ゲノムリシーケンス解析や遺伝子発現解析などにより、免疫系に関わるLy75(lymphocyte antigen 75)遺伝子が、この肥満抑制QTLの最有力候補遺伝子であることを明らかにしていた。

 また、Ly75の遺伝子型、Ly75のmRNA発現量と白色脂肪組織重量に因果関係があり、遺伝子型の変化により発現量が高くなると白色脂肪組織重量が減少することを明らかにしていた。

 今回の研究では、Ly75のノックアウトマウスなどを用いた遺伝解析や遺伝子発現解析などにより、肥満抑制QTLの原因遺伝子がLy75であることをはじめて明らかにした。

 また、因果分析により、Ly75の遺伝子型やLy75のmRNA発現量と白色脂肪組織重量の間には、因果関係があることを証明し、遺伝子型の変化により、発現量が高くなると白色脂肪組織重量が減少する、つまり肥満を抑制することを明らかにした。この遺伝子は、免疫応答に関わる機能を担うことがこれまでに報告されていたが、肥満に関する報告はなかったという。

 「今回の研究成果は、肥満に関わるQTLの原因遺伝子を同定した数少ない成功例のひとつであり、肥満生物学に新たな知見をもたらすものとして期待される。今後はLy75遺伝子の脂質代謝に関わる分子機能を解明することが必要となる」と、研究グループは述べている。
Genetic identification of Ly75 as a novel quantitative trait gene for resistance to obesity in mice(Scientific Reports 2018年12月5日)
名古屋大学大学院生命農学研究科

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