糖尿病性潰瘍に効果 京都大発の「人工皮膚」が傷口組織の治癒を促す グンゼ「ペルナックGプラス」

2018.11.22
 グンゼは、糖尿病で壊死した皮膚の再生に有効な人工皮膚「ペルナック Gプラス」を2019年1月から全国で発売する。京都大学医学部附属病院形成外科と共同開発し、今年4月に製造認証を得た。
 全層皮膚欠損創に同品を貼付することにより、埋植部からスポンジ層の空隙内に侵入した線維芽細胞によって新しい真皮様組織が形成される。

京大発の新たな「人工皮膚」

 「ペルナック Gプラス」は、コラーゲンスポンジ(アルカリ処理ゼラチン含有)と補強フィルムからなる二層性のコラーゲン使用の人工皮膚。同品は、コラーゲンスポンジのみの単層のものと、滲出液排出のためのドレーンスリットを付与したものがある。

 治療が難しい「糖尿病性潰瘍」に効果があり、傷口に貼ると周囲の組織の治癒を促す機能があるという。京都大医学部付属病院で治験を行い、今年4月に製造認証を得た。グンゼは2019年1月4日から医療機関などに販売を開始する。
販売名ペルナック Gプラス
使用目的下記の疾患、並びに創傷により生じた全層皮膚欠損創における肉芽の形成
(1) 熱傷Ⅲ度
(2) 外傷性皮膚欠損
(3) 腫瘍・母斑切除後の皮膚欠損
(4) 皮弁採取部 など
発売時期2019年1月4日より販売開始
製造販売業者グンゼ株式会社
販売業者コンバテック ジャパン株式会社

細胞成長因子を吸着・徐放する人工皮膚

 人工皮膚の開発は、京都大学の鈴木茂彦・名誉教授らの研究グループによるもの。開発のもととなったのは、コラーゲンスポンジをシリコーンフィルムで覆った二層構造をもつ人工皮膚だ。

 皮膚が欠損した創面に人工皮膚を貼付すると、皮膚再生に必要な細胞や毛細血管がコラーゲンスポンジ内に入り込み、患者自身の擬似真皮が新生され、スポンジ自体は吸収されてなくなる。

 研究チームは従来の人工皮膚を改良し、難治性潰瘍治療薬として広く用いられている「塩基性線維芽細胞増殖因子」(bFGF)を吸着して、1週間以上かけてゆっくりと放出(徐放)する人工皮膚を開発した。

 京都大学病院臨床研究総合センター(iACT)の支援を受けて、2010年からこの人工皮膚の医師主導治験を実施し、機能性人工皮膚の治療効果は細胞を加えた人工皮膚と同等であることを確認した。

 糖尿病患者は、血流の悪化などで足に治療が困難な皮膚潰瘍を生じやすく、壊死が進むと切断のリスクがある。細胞の遊走機能や増殖が落ちており、動脈閉塞などで血流も乏しくなっている難治性皮膚潰瘍では、いつまでも傷が治らない、あるいは傷から細菌が入り感染を引き起こすという悪循環が生じやすい。

 この人工皮膚では従来の人工皮膚と比較して、1/2から1/3の期間で擬似真皮が形成されることを非臨床研究で確認した。

 細胞成長因子を吸着し徐放することが確認された人工皮膚はこの製品が世界初だ。細胞を含む製品は海外にもあるが、それらに比べるとコストは10分の1程度に抑えることができるという。

 また、細胞製品のような輸送・保管時の厳重な温度管理、有効に使用できる期限の短さなどの問題もない。このため、皮膚再生治療を必要とする患者に、適切な時期に適切な使用ができるとしている。

京都大学医学部附属病院
グンゼメディカル事業部

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