CKDに伴う貧血の治療薬「ロキサデュスタット」 グローバル第3相試験の結果

2018.09.21
 アステラス製薬は、「ロキサデュスタット」の保存期の慢性腎臓病(CKD)に伴う貧血患者を対象としたグローバル第3相試験の結果を発表した。

透析期および保存期のCKDに伴う貧血の治療薬「ロキサデュスタット」

 アステラス製薬は、低酸素誘導因子(HIF)プロリン水酸化酵素阻害剤「ロキサデュスタット」について、保存期の慢性腎臓病(CKD)患者を対象に実施した第3相ALPS試験で、第24週までのヘモグロビン(Hb)奏効率および第28~52週にかけてのHb値のベースラインからの変化量のいずれにおいても、プラセボに対する有効性の優越性が検証され、主要評価項目を達成したと発表した。

 アステラス製薬が米国のFibroGen社と共同で開発を進める「ロキサデュスタット」は、経口投与が可能な低酸素誘導因子(HIF)プロリン水酸化酵素阻害剤。透析期および保存期のCKDに伴う貧血の治療薬としてグローバルに第3相試験の開発が進行中。

 HIFは、生体が低酸素の状態に晒されたときに自然な生理学的反応を誘導して赤血球生成(赤血球が生成されるプロセス)を最適化する転写因子であり、その分解酵素であるプロリン水酸化酵素を阻害することで、「ロキサデュスタット」は低酸素状態を引き起こすことなくHIFの活性を強化して赤血球造血反応を誘導する。

 「ALPS」試験は「ロキサデュスタット」の広範囲な大規模グローバル第3相試験の一部。欧州、中東およびアフリカを中心とした地域でアステラス製薬が実施する「ロキサデュスタット」の3つの第3相試験のうち、結果が判明した最初の試験となる。試験結果は欧州での承認申請および保険償還のために利用される。

 同試験は、投与期間が52~104週の第3相、多施設共同、二重盲検、プラセボ対照試験で、透析を受けていないCKDに伴う貧血患者(平均スクリーニングHb値≤10g/dL)を対象としている。

 プラセボと比較したロキサデュスタットの有効性および安全性を評価するためにデザインされており、対象患者はロキサデュスタット群またはプラセボ群のいずれかに2:1の比で割付けられている。

 2つの主要評価項目が設定されており、1つ目の主要評価項目は、第24週までのHb奏効率を達成した患者の割合(米国申請用)。2つ目の主要評価項目は、(レスキュー療法に関わらず)第28~52週にかけての平均Hb値のベースラインからの変化量(欧州申請用)。

 「ALPS試験で、ロキサデュスタットがCKDに伴う貧血患者の治療薬として有望であることを示すエビデンスがさらに蓄積された。CKDに伴う貧血は、患者の病態を悪化させる可能性がある」と、Astellas Pharma Global Development, Inc.Salim Mujais氏は述べている。

 慢性腎臓病(CKD)は、世界で2億人以上が罹患し、総罹患率は年々増加している。貧血はCKD患者において一般的に見られる合併症で、透析を受けている患者でも受けていない患者でも高い有病率と死亡率が認められている。EU5ヵ国(イギリス、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア)において約37万1000人の患者がステージ5のCKDで、うち約29万1,000人が貧血を伴っている。また、約72万4000人の患者がステージ4のCKDで、うち約43万2000人が貧血を伴っている。

 CKDは心血管疾患の原因になる可能性があり、依然として大きなアンメットメディカルニーズが存在していることから、世界的に重要な医療上の課題となっている。

 欧州の人口の約10%がCKD(病期は問わない)に罹患しており、欧州ではある程度腎機能を失っている人が約7,000万人いる。それらの患者は、透析や臓器移植などの腎代替療法に依存することになるリスクを抱えている。

Roxadustat(FibroGen)

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