PCSK9阻害剤「レパーサ皮下注」 スタチン不耐性患者を対象に一変申請 レパーサ単剤での使用も

2018.08.09
 アステラス・アムジェン・バイオファーマとアステラス製薬は、高コレステロール血症治療薬「レパーサ皮下注」(一般名:エボロクマブ(遺伝子組換え))について、高コレステロール血症におけるスタチン不耐性患者を対象とした日本での一部変更承認申請を行ったと発表した。

スタチン服用を継続できない「スタチン不耐」 承認されればレパーサ単剤での使用も可能に

 「レパーサ」は、アステラス・アムジェン・バイオファーマとアステラス製薬との共同開発により発売されたヒトIgG2モノクローナル抗体で、ヒトプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤。PCSK9は、LDL-Cを血中から取り除く肝臓のLDL受容体に作用し、その働きを低下させる。

 日本では、2016年1月に家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症(ただし、心血管イベントの発現リスクが高く、スタチンで効果不十分な場合に限る)を効能・効果として製造販売承認を取得し、2016年4月より販売された。

 同剤は現在、スタチンと併用することが用法・用量に関連する使用上の注意に記載されている。今回の一部変更承認申請は、スタチン不耐性の患者において、レパーサ単剤での使用も可能にすることを目的としている。

スタチンに代わってLDL-Cを低下させる新たな治療

 高コレステロール血症の患者に対する治療では、主にスタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)が用いられるが、筋障害の副作用が生じ有効量のスタチン服用が継続できない「スタチン不耐」の患者がいる。患者がスタチン不耐の場合、スタチンの服用を中止または減量するとともに、スタチン以外の薬剤による治療が考慮される。

 「日本における高コレステロール血症治療中のスタチン不耐の患者数はいまだ明確ではありませんが、筋障害などを理由にスタチンを中止せざるを得ないこれらの患者の治療はいまだ重要な課題となっています。スタチンによる治療によってもLDLコレステロール(LDL-C)管理が不十分な患者が多い中、スタチンを中止せざるを得ない場合、スタチン以外の薬剤を用いて十分にLDL-Cを管理する必要があります。そのためには、スタチンに代わって確実にLDL-C低下を達成する新たな治療選択肢の開発が望まれます」と、金沢医科大学医学部循環器内科学の梶波康二教授は述べている。

 この申請は、日本人のスタチン不耐性患者を対象とした国内での第3相ランダム化試験「GAUSS-4」などの結果にもとづいて行われた。同試験では、レパーサ群はエゼチミブ群に比べて、主要評価項目である10週時点と12週時点のベースラインからの平均LDL-C変化率および12週時点のベースラインからのLDL-Cの変化率が統計学的に有意に大きいことが確認された。

レパーサ皮下注140mgペン(アステラス製薬)

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