FDAがウゴービをMASH治療薬として承認

ウゴービは肥満症治療薬として認知されているが、臨床試験では肥満以外の深刻な健康リスクの抑制作用もあることが示されており、心血管疾患の既往がある場合には再発予防を目的として処方されることがある。また、ノボノルディスク社が販売しているオゼンピックの有効成分はウゴービと同じくセマグルチドであり、同薬は糖尿病治療薬として承認されている。
MASHは、肝臓に脂肪が蓄積することで炎症と繊維化が生じる疾患で、以前、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と呼ばれていた病態に近い。MASHは進行性で、肝硬変、肝がん、死亡へとつながる。症状としては、倦怠感、体重減少、筋力低下などが挙げられるものの、重度の肝不全に至るまで症状が現れないことも少なくない。MASHの原因はまだ完全には解明されていないが、ウゴービは体重減少を介してMASHを抑制するのに加えて、肝臓の炎症や繊維化を改善する可能性も示唆されている。
今回のFDAの承認は、MASHの治療におけるウゴービの有効性を検討している第3相臨床試験の中間解析の結果に基づくものであり、同薬はMASHを適応症とする画期的新薬の指定を受け、迅速承認制度によって承認された。この迅速承認制度では、重篤な疾患に対する治療薬を代替エンドポイント(例えば臨床検査値)に基づいて、早期に市場に投入することが可能となる。承認後には、臨床的に意義のあるエンドポイント(疾患アウトカム、生存率など)に対する治療効果を証明する追加データの提出が必要。
第3相臨床試験は240週間継続され、中間解析は72週経過時点で実施された。その結果、ウゴービ群ではプラセボ群に比べ、肝線維化の改善などが認められた。今後は引き続き、死亡、肝移植、その他の肝関連イベントの発生状況等が比較検討されることになる。
なお、ノボノルディスク社によると、欧州連合(EU)と日本でのMASHへの適応拡大申請に際しても、FDAに提出したものと同じデータを使用しているという。
(HealthDay News 2025年8月20日)
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