「トレシーバ」のリアルワールドエビデンス試験 血糖コントロール改善と低血糖発現率の低下 第78回米国糖尿病学会
2018.06.29
第78回米国糖尿病学会(ADA2018)
持効型溶解インスリン製剤「トレシーバ」(一般名:インスリンデグルデク)が、リアルワールドエビデンス試験において、インスリングラルギンU300と比較して、優れた血糖コントロールおよび低血糖の発現率の有意な低下を示したとの報告が、第78回米国糖尿病学会(ADA2018)で発表された。
「トレシーバ」の投与を受けた成人2型糖尿病患者では、基礎インスリン製剤開始後に有意なHbA1c低下と低血糖エピソードの発現率が、対象と比較して30%低かったことが示された。
持効型溶解インスリン製剤「トレシーバ」(一般名:インスリンデグルデク)が、リアルワールドエビデンス試験において、インスリングラルギンU300と比較して、優れた血糖コントロールおよび低血糖の発現率の有意な低下を示したとの報告が、第78回米国糖尿病学会(ADA2018)で発表された。
「トレシーバ」の投与を受けた成人2型糖尿病患者では、基礎インスリン製剤開始後に有意なHbA1c低下と低血糖エピソードの発現率が、対象と比較して30%低かったことが示された。
2型糖尿病患者4,056人が対象のリアルワールドエビデンス試験
「トレシーバ」(インスリンデグルデクU100およびU200製剤)の効果をインスリングラルギンU300と比較した大規模なリアルワールドエビデンス(RWE)試験である「CONFIRM」試験の所見が、第78回米国糖尿病学会(ADA2018)において発表された。 「CONFIRM」試験は、米国のインスリン治療歴のない(指標日前365日以上にわたり基礎インスリン製剤を使用したエビデンスがないと定義)成人2型糖尿病患者4,056人を対象として、「トレシーバ」とインスリングラルギンU300とを調査した後ろ向き非介入効果比較試験。両群の規模は等しく(n=2,028)、各群のベースラインにおける患者背景をマッチングし、ほぼ同等になるようにした。 患者はひとつ以上の経口糖尿病薬あるいはGLP-1受容体作動薬を投与してもコントロール不良で、現地の医療慣行に従って「トレシーバ」またはインスリングラルギンU300を処方された。米国の複数の医療システムから電子医療記録を取得。主要評価項目は、処方から6ヵ月後時点におけるHbA1c(血糖コントロール)のベースラインからの変化量で、副次的評価項目は、低血糖の発現率、低血糖エピソードが1回以上発現した患者の割合、および治療中止の割合とした。「トレシーバ」はHbA1c低下と低血糖発現率で優位という結果に
その結果、「トレシーバ」投与6ヵ月後の患者は、インスリングラルギンU300の投与を受けた患者と比較して有意なHbA1cの低下が示された(それぞれ、-1.5% 対 -1.2%、p=0.029)。 副次的評価項目として、「トレシーバ」投与によりインスリングラルギンU300と比較して低血糖エピソードの発現率が30%低かったことが示された(p=0.045)。この試験では、軽度から重度の低血糖イベントを医師の診断に従い国際疾病分類(ICD-9/10)を用いて記録した。 また、このRWE試験では別の副次的評価項目として、「トレシーバ」の投与を受けた患者では、治療を継続する割合が高いことが示された。インスリングラルギンU300の投与を受けた患者では、2年後に治療を中止している割合が37%高かった(p<0.001)。リアルワールド試験には限界がある
ノボ ノルディスクによると、他の全てのリアルワールド試験と同様に、「CONFIRM」試験は無作為なものでなく、RWEの限界がある。つまり、報告されている低血糖の発現件数は実際よりも少ない可能性がある。また、本試験のフォローアップは3ヵ月から6ヵ月で、HbA1cがもっとも変化する傾向にある期間に相当するが、短期間だ。 加えて、CONFIRM試験では、基礎インスリン製剤の「処方」に基づくエビデンスであり、「実際に薬局で受け取られたか」など実際に治療薬が使用されたかどうかについてのエビデンスはないという。 なお、インスリンデグルデクU200製剤は、日本では承認されていない。 ノボ ノルディスク ファーマ[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]