「ジャディアンス」の安全性を評価 日本を含む東アジア人集団で優れた忍容性

2018.06.29
第78回米国糖尿病学会(ADA2018)

 日本ベーリンガーインゲルハイムと日本イーライリリーは、SGLT2阻害薬「ジャディアンス」(一般名:エンパグリフロジン)の大規模安全性データにおける東アジア人集団のサブグループ解析を実施し、ジャディアンスの忍容性は東アジア人患者においても認められ、全体集団と一貫した結果が得られたことを、第78回米国糖尿病学会(ADA2018)で公表した。

日本を含む東アジア人2型糖尿病患者2,141例のデータを解析

 これまでに1万2,500人以上の成人2型糖尿病患者を対象とした15の試験(EMPA-REG OUTCOME試験を含む)と4つの延長試験からなる大規模安全性データの全体集団において、ジャディアンスは忍容性に優れ、下肢切断や骨折では、プラセボ群とジャディアンス群において不均衡が認められないことを報告している。

 両社は、ジャディアンスの東アジア人集団での安全性データを検討することを目的として、清野裕氏(関西電力病院総長、関西電力医学研究所所長)を中心に、矢部大介氏(関西電力医学研究所副所長、京都大学特定准教授)、中国、韓国、香港、台湾のエキスパートの指導の下、上述の大規模安全性データのうち、東アジア人2型糖尿病患者2,141例におけるサブグループ解析を行った。

 今回公表された解析は、プラセボ(N=709)、ジャディアンス10mg(N=724)、またはジャディアンス25mg(N=708)を投与された2型糖尿病患者を対象に行われた。有害事象については、ジャディアンスまたはプラセボを少なくとも1回服用した患者を対象として評価した。

下肢切断や骨折ではプラセボ群に比べ不均衡が認められない

 その結果、有害事象、重篤な有害事象、投与中止に至った有害事象の割合は、プラセボ投与群とジャディアンス投与群で同程度だった。

 低血糖症の発現割合は、プラセボ群で8.9%、ジャディアンス10mg群で12.2%、ジャディアンス25mg群で9.7%だった。体液量減少の発現割合は、プラセボ群で1.7%、ジャディアンス10mg群で1.2%、ジャディアンス25mg群で2.0%だった。性器感染症の発生割合は、プラセボ群で0.3%、ジャディアンス10mg群で2.2%、ジャディアンス25mg群で2.4%だった。

 骨折の発現割合は、プラセボ群で1.6%、ジャディアンス10mg群で2.6%、ジャディアンス25mg群で1.6%だった。下肢切断は全体でジャディアンス10mg群の1例で、下肢切断関連の事象(末梢動脈閉塞疾患、糖尿病足病変、感染症および創傷)の発現割合は、プラセボ群とジャディアンス群で同程度だった。

 「医薬品の安全性には人種差がある可能性があります。我々は日本、中国、韓国、香港、台湾の先生方とともに、ジャディアンスの安全性に人種差があるかについて、2,141例の東アジア人患者を対象として解析を行いました。その結果、ジャディアンスの忍容性は東アジア人患者においても認められ、全体集団と一貫した結果が得られました」と、検討を主導した清野裕氏は述べている。

 なお、日本におけるジャディアンス錠の効能・効果は2型糖尿病であり、心血管イベントのリスク減少に関連する効能・効果は取得していない。

 両社は、ジャディアンスの安全性データについて、継続して検討していくとしている。

ジャディアンス(日本イーライリリー)

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