脂肪細胞が分泌するSDF-1によりインスリン誘導性の糖取り込みが低下
2018.04.20
大阪大学は、脂肪細胞が分泌するアディポサイトカイン「SDF-1」(Stromal derived factor-1)が脂肪細胞のインスリンの効きを悪くし、インスリン誘導性の糖取り込みを低下させることを発見した。SDF-1シグナルを阻害することで、肥満2型糖尿病の治療につながることが期待されるという。
SDF-1の糖取り込みに対する作用を解析
インスリンがインスリン受容体と結合し、脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインである「IRS-1」を活性化することで、Aktがリン酸化され、糖取り込みが行われる。インスリンの効きが悪くなると、細胞へ糖を取り込みにくくなり、高血糖の状態が続く。 飢餓状態と肥満状態では、インスリンが作用しにくくなることが知られている。副腎皮質ホルモンや炎症性サイトカインなどの脂肪細胞由来ではない外来性の因子が増加し、脂肪細胞に作用することで、インスリン感受性が低下すると考えられている。 研究グループはこれまでに、脂肪細胞が分泌するアディポサイトカインが、肥満病態の形成に重要な役割を果たすことを報告している。しかし、アディポサイトカインが脂肪細胞自体に作用してインスリン感受性を制御することは知られていなかった。また、SDF-1は、脂肪細胞ではもっとも遺伝子発現量が高いケモカインだが、細胞への糖取り込みに対する作用は解析されていなかった。 そこで研究グループは、公開されているマイクロアレイデータセットを用いて、脂肪細胞において飢餓状態と肥満状態で発現が上昇する因子としてSDF-1を同定。SDF-1の機能を知るために、マウスの脂肪細胞にSDF-1タンパク質を添加した。SDF-1が脂肪細胞のインスリン感受性を制御
SDF-1 is an autocrine insulin-desensitizing factor in adipocytes(Diabetes 2018年3月28日)
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]