インスリン グラルギンとリキシセナチドの配合剤 第3相試験で優れたHbA1c低下効果を実証

2016.06.24
 サノフィ は、開発中のインスリン グラルギン100単位/mL(基礎インスリン)とリキシセナチド(GLP-1受容体作動薬)の用量調節が可能な配合剤を検討した主要な第3相試験であるLixiLan-O試験とLixiLan-L試験の結果を発表した。いずれの試験とも主要評価項目を達成し、配合剤はリキシセナチド、インスリン グラルギン100単位/mLのそれぞれの比較薬と比べ、HbA1c(過去3カ月間の平均血糖値の指標)の低下度が有意に大きいことが立証された。もっとも高頻度で認められた有害事象は、悪心、嘔吐、下痢だった。
 インスリン グラルギンとリキシセナチドを配合した同剤は現在、米国食品医薬品局(FDA)と欧州医薬品庁(EMA)が審査している。今回の試験結果は、第76回米国糖尿病学会議(ADA 2016)で、6月12日に発表された。

 リキスミア(一般名:リキシセナチド)は、2型糖尿病の治療に用いられるGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬。リキシセナチドは世界60ヵ国以上で成人2型糖尿病を適応症として承認されており、欧州、日本、メキシコなどで販売されている。

HbA1cの低下度が大きく、HbA1cが7%未満の達成率も高い

 LixiLan-O試験では、メトホルミン単独療法、またはメトホルミンと経口糖尿病薬1剤の併用でコントロール不十分な2型糖尿病患者1,170例を対象として、インスリン グラルギン100単位/mLとリキシセナチドの用量調節が可能な配合剤を1日1回30週間投与する場合の有効性と安全性を、リキシセナチドのみ、またはインスリン グラルギン100単位/mLのみ投与する場合と比較した。試験期間中、メトホルミンの投与は全患者で継続し、メトホルミン以外の経口糖尿病薬は中止した。

 第30週時点のベースライン(8.1%)からのHbA1cの低下度は、配合剤群-1.6%、インスリン グラルギン100単位/mL群-1.3%、リキシセナチド群-0.9%と配合剤群で有意に大きく(p<0.0001)、第30週時点の実測値はそれぞれ6.5%、6.8%および7.3%だった。

 HbA1cが7%未満まで低下した患者の割合は、配合剤群74%、インスリン グラルギン100単位/mL群59%、リキシセナチド群33%と配合剤群で高い結果が得られた。平均体重は、インスリン グラルギン100単位/mL群では1.1kgの増加、配合剤群は0.3kgの減少(インスリン グラルギン100単位/mL群との群間差は1.4 kg, p<0.0001)、リキシセナチド群は2.3kgの減少だった。

 血糖値70 mg/dL以下の症候性低血糖の発現率は、配合剤群(25.6%、1.44件/年)とインスリン グラルギン100単位/mL群(23.6%、1.22件/年)は同程度だったが、リキシセナチド群(6.4%、0.34件/年)は他の2群を下回りました。有害事象は、配合剤群では9.6%に悪心、3.2%に嘔吐を認め、インスリン グラルギン100単位/mL群では3.6%に悪心、1.5%に嘔吐がみられ、リキシセナチド群では24.0%に悪心、6.4%に嘔吐がみられた。

基礎インスリンからの切り換えでもHbA1cの目標達成率が高い

 LixiLan-L試験では、基礎インスリン単独または基礎インスリンと経口糖尿病薬1~2剤の併用でコントロール不十分な2型糖尿病患者736例を対象として、インスリン グラルギン100単位/mLとリキシセナチドの用量調節が可能な配合剤を1日1回30週間投与する場合の有効性と安全性をインスリン グラルギン100単位/mLのみ投与する場合と比較した。試験開始時にメトホルミンを用いていた患者は、試験中もメトホルミンの投与を続行した。他の経口糖尿病薬は中止した。

 第30週時点のベースライン(8.1%)からのHbA1cの低下度は、配合剤群-1.1%、インスリン グラルギン100単位/mL群-0.6%と配合剤群で有意に大きく(p<0.0001)、第30週時点の実測値はそれぞれ6.9%および7.5%だった。HbA1cが7%未満まで低下した患者の割合は、配合剤群55%、インスリン グラルギン100単位/mL群30%と配合剤群で高い結果が得られた(p<0.0001)。平均体重は、インスリン グラルギン100単位/mL群では0.7kg増加したのに対し、配合剤群は0.7kg減少した(群間差は1.4 kg, p<0.0001)。

 血糖値70 mg/dL以下の症候性低血糖の発現率は、配合剤群(40%、3.0件/年)、インスリン グラルギン100単位/mL群(42.5%、4.2件/年)と同程度だった。有害事象は、配合剤群では10.4%に悪心、3.6%に嘔吐を認め、 インスリン グラルギン100単位/mL群では0.5%に悪心、0.5%に嘔吐がみられた。

第76回米国糖尿病学会(ADA2016)

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