特別寄稿「被災した糖尿病患者さんへ」 インスリンとの歩き方
熊本県や大分県で発生した一連の地震災害により、避難を余儀なくされている糖尿病患者さんに向けて、連載「インスリンとの歩き方」の執筆者であり、自身も1型糖尿病である遠藤伸司さんからメッセージをお寄せいただきました。本来の連載ストーリーとは別の「特別寄稿」としてご紹介いたします。
特別寄稿「被災した糖尿病患者さんへ」 ▶
特別寄稿「被災した糖尿病患者さんへ」(本文より)
熊本県、大分県の地震で被災した方へ、心よりお見舞い申し上げます。
いまだ、余震が続いているなか、いろいろなご不安があることと思います。インスリンや飲み薬はありますか。
血糖測定器やチップ、センサーはありますか。
そもそも、水や食料はありますか。
健康で体力のある方でも、被災して家にも帰れないというのは、とても大変なお辛い状況だと思います。しかし、高齢でお体が不自由だったり、持病をお持ちの方は、薬が手に入らなかったりして、さらに不安がつのるのではないかと心配しています。
僕は、被災した経験も、体が不自由だということもないのですが、ただ30年近く1型糖尿病と付き合ってきたので、その経験が少しでもお役に立てばと願い、この一文を書いています。
まずは周囲の人へ、ご自分の状況をきちんと伝えることが大切です。こういうときは、隠したいとか遠慮するという気持ちは、一旦、横に置きましょう。
「自分は糖尿病で、インスリンや薬が必要であること」などと、率直に伝えたほうがいいと思います。できるだけ、多くの方から、早く援助を受けられるように......です。
インスリンや飲み薬、血糖測定器のチップやセンサーがない場合には、病院や医療機関へ相談することがもちろんベストです。また、飲んでいる薬やインスリンの名前がわかれば、「お薬の手帳」が手元になくても、医師の方に素早く対処していただく助けになるかもしれません。
ただ、インスリンや飲み薬が充分に手に入らないとき、また、いままでのような生活が出来ない場合、なにか出来ることがないか......それを糖尿病患者という立場で考えてみました。