社会人1年目、療養と仕事のバランス 連載「インスリンとの歩き方」
1型糖尿病患者の遠藤伸司さんによる連載「インスリンとの歩き方」は、第8回「社会人1年目、罹病10年目、マグネットへの羨望」を公開しました。新社会人が直面する療養と仕事の両立を、実体験を元に描きます。
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執筆者の遠藤さんは、中学生の頃に1型糖尿病を発症。以来、約30年間の療養生活の中で、留学や進学、就職、そして転職、プライベートまで幅広い経験を積み、なにかと無理をすることもあったようです。
連載では、そんな遠藤さんの半生を、糖尿病と上手につきあうためのコツやノウハウを中心に、実体験のエピソードを交えて語っていただきます。1型糖尿病患者さんをはじめ、2型糖尿病患者さん、糖尿病医療に携わる方々は、ぜひご一読ください。
第8回 社会人1年目、罹病10年目、マグネットへの羨望(本文より)
1997年の4月、僕は社会人になった。もう20年も前のことだ。
大人の社会とかサラリーマンが、いったいどういうものなのか、僕には全くわからなかったけれど、「1型糖尿病が理解されていない社会」ということだけはわかっていた。
社会と僕との接点である最初の仕事は、外車の販売だった。学生時代から車好きではあったが、外車というお金持ちが乗るような車には全く興味がなかった。ただ、特別な資格も特技もなく、1型糖尿病という持病もあったので、そんな僕を選んでくれた会社に入社した。入社式には、200名以上の新卒の同期がいたほどの、規模の大きい会社だった。
入社式や諸々の研修を終えて5月になると、配属先である営業所での勤務が始まった。