「脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャート2015」を公開 日本内科学会
2015.08.19
日本内科学会はこのほど、関連13団体と共同で作成した「脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャート2015」を学会ホームページで公表した。
健診などで脳心血管病リスクを指摘され来院する患者を主な対象とし、スクリーニングから薬物療法まで順を追ってまとめた内容となっている。
来院患者に加え、すでに加療中の患者についても、管理状態の評価ツールとして活用が可能だとしている。
健診などで脳心血管病リスクを指摘され来院する患者を主な対象とし、スクリーニングから薬物療法まで順を追ってまとめた内容となっている。
来院患者に加え、すでに加療中の患者についても、管理状態の評価ツールとして活用が可能だとしている。
リスクが重積した患者への総合的な介入の筋道を示す
日本人の死因では、心疾患が2位、脳血管疾患が4位となっており、両疾患をあわせると1位のがん(悪性腫瘍)と同等となる。 日本の代表的な疫学研究である久山町研究で、脳心血管病を予防するために、肥満と糖尿病、脂質異常症などの管理が重要であることが明らかになった。 それぞれの疾患について治療ガイドラインが作成され活用されているが、表現の仕方に整合性がとれていない部分が少なからずあり、統合的な指針が必要とされていた。 こうした課題をふまえ、日本内科学会が中心となり、日本疫学会、日本高血圧学会、日本循環器学会、日本腎臓学会、日本体力医学会、日本糖尿病学会、日本動脈硬化学会、日本脳卒中学会、日本肥満学会、日本老年医学会の11学会と、日本医学会および日本医師会が加わってチャートを作成した。 チャートは、ステップ1(スクリーニングと専門医などへの紹介必要性の判断)、ステップ2(各リスク因子の診断と追加評価項目)、ステップ3(治療開始前に確認すべきリスク因子)、ステップ4(リスク因子と個々の病態に応じた管理目標の設定)、ステップ5(禁煙、食事管理、体重管理、身体活動・運動、節酒などの生活習慣の改善)、ステップ6(薬物療法)の6段階で構成。高血圧や糖尿病、脂質異常症といったリスク因子ごとに評価項目や管理目標値が簡潔に記載されている。 例えば、ステップ1aでは、問診(年齢や性、自覚症状、既往歴など)や身体所見(身長や体重、診察室内血圧など)といったスクリーニングの基本項目を提示。ステップ1cでは、脳卒中や高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病(CKD)などの6項目を挙げており、専門医などへの紹介の必要性が判断できるという。特にリスクが重積した患者に対しては予防的介入の重要性が高まるので、このような状況における総合的な介入のフローを分かりやすく提示してある。 また、ステップ4では、高血圧や糖尿病、脂質異常症、肥満の各リスク因子を提示。リスク因子とそれぞれの病態に応じた管理目標の設定や生活習慣病の改善を、一覧できるよう図表で掲載している。 ステップ6の薬物療法では、高血圧、糖尿病、脂質異常症と疾患ごとの薬物選択と留意点を、一覧できるよう図表で掲載。汎用される薬剤を挙げ、適応や禁忌、副作用までを一目で確認できる表に示している。 脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャートについて(日本内科学会 2015年8月5日)[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]