「先進1型糖尿病外来」を開設 膵島移植にも対応 国立国際医療研究センター

2015.08.18
 国立国際医療研究センター 糖尿病内分泌代謝科は、「先進1型糖尿病外来」(中條大輔医長)を2015年7月に開設した。

1型糖尿病の初期診断から先進医療まで対応

 1型糖尿病の患者数は糖尿病全体の5%未満とされており、インスリンを産生するβ細胞が破壊されることで発症し、主に「自己免疫」が発症原因とされるが、まだ不明な点が多いのが特徴だ。インスリンが絶対的に欠乏するため、インスリン自己注射による治療を行うが、血糖コントロールが難しい場合が多々ある。初期診断と治療が極めて重要であると同時に、病気の原因に対する新しい治療法の開発も望まれている。

 「先進1型糖尿病外来」では、1型糖尿病の詳細な病態の評価、新しいインスリン治療や細胞移植治療といった先進的な医療を提供するための診療を主に行う。はじめて1型糖尿病と診断された患者(もしくはその疑いがある患者)から治療に苦慮している患者まで相談を受け付けている。

 診察日は月曜日の午前だが、それ以外の診察日でも随時対応するという。また、他の医院や病院からの紹介も随時受け付けている。

 国立国際医療研究センター 糖尿病内分泌代謝科「先進1型糖尿病外来」 主な診療内容

・ パーソナルCGM搭載・インスリンポンプ療法
 皮下血糖センサー(CGM)を併用することで、リアルタイムに血糖値を見ながらインスリン投与量を調節できる、インスリン持続皮下注入療法。

・ ベッドサイド型人工膵臓による病態評価
 血糖値に応じた精密なインスリン注入が可能な人工膵臓を用いて、血糖値を正常に保つために必要なインスリン投与パターンやインスリンの効き方を精密に測定することで、治療法を決定する。

・ 不安定1型糖尿病に対する膵島移植
 臓器提供者(ドナー)の膵臓からインスリンを作る膵島のみを単離し、点滴で肝臓内に移植する外科手術が不要な革新的治療法。あらゆるインスリン治療を用いても血糖値が不安定で、重度の低血糖発作を起こすような患者が対象になる。海外での経験を活かし、同センター研究所とも連携しながら実施していく。

・ その他
 膵内分泌機能(インスリンやグルカゴンの分泌能)や膵臓に対する自己免疫を詳細に評価することで、新しい治療法の開発を目指す。

国立国際医療研究センター 糖尿病内分泌代謝科

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